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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2008-10-01-Wednesday 観光庁

10月1日に観光庁が創設された。

国土交通省の外局として発足したのだがこの記念として同日、東京のグランドプリンスホテル赤坂で「観光立国推進の会」が催され、国から任命された「観光カリスマ百選」の一人としてご案内を戴き出席してきた。

現在900万人以下の外国人訪問客数を将来、倍以上の2000万人にする「住んで良し、訪れて良しの国づくり」観光立国を目指して創設されたのである。

全国各地から観光に関わる人たちおよそ1200人が集まって観光庁の発足を祝ったのである。

案内状は9月初旬に自宅に届いたのだが、差出人は当時の谷垣禎一国土交通大臣であった。案内状を貰ってからパーティまでのたった一ヶ月間の内に担当大臣が3人も替わったのである。先月末の内閣改造で中山成淋に替わったが、例の舌禍事件の為に5日間で辞めて、急遽、金子一義に替わったのである。なんとバタバタしていることであろう。

今回は立食のパーティであったが、挨拶する人たちの数のなんと多いことか、金子国交相・河村健夫官房長官・二階経産相の三人の大臣から始まって、各国大使やら関係団体の長やらの挨拶が12人も続いたのだ。一時間以上の立ちっ放しはかなり腰が辛い。

政府から選ばれた「観光カリスマ」として出席したものの、見知った顔は10人程しかいない。ただつまらない挨拶を延々と聞いて、12人目に乾杯の音頭があってから簡単な食事をしただけである。おそらく会場費や食事代なども税金を使ってのものだろう。一体このパーティに何の意味があったのだろうか。無駄使いにしか感じなかった。きっとこうやってあちこちで無駄に税金を使っているのだろう。

せめて税金を使うなら、せっかく全国各地から観光に携わる人たちが集まっているのだから、お互いに紹介し合える様な何等かの設定があっても良かったのではないかと思う。クダラナイ同じ様な挨拶を12人分聞いても何の役にも立たないし、ただ人数を集めてパーティを開催しても何の懇親にもなっていないのがもったいない。単なるお役人の自己満足のお披露目パーティに終わってしまった。こんな程度のホスピタリティしか持ち合わせていない観光庁の役人に観光事業を推進せよというのは酷なのかもしれないぞ。

それでも今回、初代観光庁長官になった本保芳明氏は小樽の出身であると聞いたから、北海道の観光がもう少し良くなるように期待しておくことにしよう。


■2008-10-02-Thursday ミス・サイゴン

帝国劇場で上演しているミュージカル

ミス・サイゴンを鑑賞してきた。

前日に「観光庁」の発足記念の「観光立国推進の会」というパーティに、政府から任命された「観光カリスマ」としてご案内をいただき出席してきたのである。せっかく上京したのだから、このパーティに出席するだけではもったいないからと、できるだけ東京の現在の状況を把握しようと、やたらと歩き回って見て歩いた。

まず有楽町の駅前に新しくマルイが再開発ビルを建てたのを見学に行った。木曜日の午前中という時間帯もあるだろうがお客さんがほとんどいない。エスカレーターで最上階まで上がり、ぐるぐる回りながら降りて来たのだがガラガラなのである。

その後、銀座通りに出て新橋駅まで歩いて行ったが、歩いている人の数はそこそこいても、購入している人は少ないように感じた。デパートもあまり売れていないようである。唯一H&Mという新しく出来た店舗だけが混んでいた。博品館という外国人客で一杯になるおもちゃ屋も客が少なかった。更に汐留の高層ビル群まで歩いて行ったが、人が少なく閑散としている。日本テレビにもお客さんがほとんどいない。時間帯が少々早過ぎたのかもしれないなぁ。そこから新橋駅まで出てみると駅前広場で古本市をやっていたのでしばらく時間をつぶし、今度は山手線の反対側を歩いて有楽町まで戻った。やはり人通りが少ない。旧そごうの跡がビックカメラになった電気屋に入ってみたがここも客が少ないように感じた。どうやら東京の景気もあまり良くないようである。

かなりの距離を歩き回って疲れたし、これ以上歩き回るのもシンドイので、食事をしようと近くの帝国劇場の側に行ってみたら、「ミス・サイゴ」ンというミュージカルを上演していた。窓口で訪ねたら当日券があると言う。こんな時には一人だと良い席が残っているものだ。13:30開演で16:15終演というから、帰りの飛行機の17:55発にも間に合う。これはちょうど良い暇つぶしになると中央のS席を購入したのだ。

私は、演劇やミュージカルが大好きで暇さえあれば観ている。学生時代にはとても高価で購入できなかった入場券も大人になった今なら買うことができる。東京という街は、金と暇がありさえすれば遊ぶにはもってこいの街なのである。が、住みたいとは思わないし金も暇も不十分だ。たまの出張で観劇するくらいが丁度良い。

劇場は9割以上の席が埋まるほぼ満席状態。その観客の9割は中年以上の女性である。なんだかんだ言っても中年女性には金と暇があるようである。

ミス・サイゴンは白血病で死んだ本田美奈子の代表作だ。ずっと観たいと思っていた作品のひとつだがチャンスがなかったし、ストーリーも知らなかった。

観て驚いた。こんなに重たいテーマのミュージカルだとは思わなかったのである。ハッピーエンドで終わるのがミュージカルだと思い込んでいたのだが、こんな社会的なテーマの作品でヒットするのかと驚いたのである。ストーリーや詳しい内容はまだ観ていない人の為にここでは書かない。パンフレットにすら書いていないのだから・・・。

ミュージカルとしては素晴らしかった。日本人の俳優も声量が増えて歌も上手くなったし演技も上手くなったと思う。やはり、エンターティンメントというものの成熟には時間が掛かるのだろうなぁ。一昔前の日本のミュージカルとは雲泥の差だ。

これからも金と暇さえあったらミュージカルを観て過ごしたいものである。


■2008-10-03-Friday 吉野家

何故だか分からないが東京に行くと

吉野家の牛丼を食べてしまう。

一人だけで出張すると、名前の通った良い店には入れないものである。連れがいないと一人では格式の高い店には入りにくいのだ(中には一人客お断りの店もある)。正しい食事というのはやはり複数でするものなのである。

朝食はホテルでとるが、昼食は外食になることが多い。そんな時に一人で入っても苦にならないのは、蕎麦屋かラーメン屋か牛丼屋ということになる。地方に行って名前を聞いたことの無い蕎麦屋やラーメン屋で食事をするのは勇気(?)のいることだ。普段から食べ慣れていない味のものはとても不味く(味覚は主観である)感じてしまうからである。時にはインスタント麺よりも不味く感じる店にあたることだってあるからである。そんな時に「とても喰えねえ〜!」と残して店を出るのは店主に悪いと思っているのだ。だが、不味い(不味く感じる)のを我慢して食べるのはもっと辛いことである。

そんな時には吉野家の牛丼を重宝している。何処にでも在るし、値段も味も一緒だからある意味では安心だからだ。だが、一人で食べているととても侘しくなってくる。なんで俺はこんなところで一人で喰っているのだろう。なんで新しい店にチャレンジしてみないのだろうかといつも食べながら思うのである。

昨日も有楽町で吉野家の牛丼を一人寂しく食べたのだ。牛丼の並と生卵とお新香で520円であった。今時、この値段でお腹が一杯になるものはそう多くはない。カウンターで注文したら「ご注文を繰り返します」という店員の発音がなんだかおかしい。名札をみたら働いている人たちは皆、中国人であった。東京の飲食店では外国人のバイトが多いようである。外国人の給料は日本人よりも安いのだろうか?それとも最近の日本人の若者はこの種のバイトもやらないのであろうか?

色々な店を覗いて見るのも社会を見るうえでは重要だと自分に言い聞かせては、また吉野家に入る。でも、今度出張する時には「奢ってあげるから一緒に食事しようよ」と道行く女性に声でも掛けてみようか。でも「この人変なんです!」と警察に訴えられたりしたら困るから止めておこう。そうだ!出張先の上手い蕎麦屋やラーメン屋を予めネットで調べておけば良いのだ。

一昨日の夜も「観光庁発足記念」のパーティが終わったのは20:00であった。一人で居酒屋に飲みに行くのも、ホテルの部屋で一人寂しく飲むのも嫌だし、まだ時間も早いから、大学時代の同級生に電話して呼び出し、一緒に飲んでもらった。

人間は楽しく飲食をするのがなによりも嬉しいものなのである。


■2008-10-05-Sunday じゃがいも

食べる「じゃがいも」のことではない。

青年会議所(JC)のゴルフの親睦会のことを指す。最初に聞いたときは「じゃがいも」だから北海道の青年会議所特有の名称かと思ったのだが、全国のJC共通の名称であるという。いわれは分からない。

5日に行われた帯広JCの「じゃがいも」の打ち上げ会で、来年度の「じゃがいも」の会長に指名された。毎年、年度順送りで会長が選出されるのだ。来年は昭和33年生まれが担当の年なのである。

昭和33年生まれのJCメンバーでゴルフをする人間は5人程度と少ない方である。私は今年からゴルフに復帰したようなものなので適任だと判断されたのだろう。

JCに入会してから今日まで「じゃがいも」には23年間も参加してきたが、いまだに年間優勝を果たしたことがない。毎年、5〜10月に月一回ずつ計6回の月例会を十勝管内の各ゴルフ場をまわって開催する。優勝者には10点、準優勝者には9点・・・参加点が3点というポイントが与えられる。最終戦は点数が2倍になるシステムだ。シングルから初心者まで一緒にプレーするのであるが、ハンディは30打ち切り、優勝すると20%、準優勝で10%分次回からハンディUPする、アンダースコア分もハンディがUPする。もしハンディ10の人間が第一月例会に5アンダーで優勝してしまうと、次回のハンディは3(10×80%−5)になってしまうので、年間優勝するには戦略が必要なのである。

まずは総会+月例会6回全部に参加することである。そうすると参加点だけで24点になる。1〜4回まではアンダースコアにならないように調整してパープレーで我慢して10位以内に入賞し何点かをこまかく稼ぐ、5回目と最終戦(最終戦はハンディが元に戻る)は優勝を狙って頑張るという作戦だ。

だが、これまでゴルフにおいては作戦通りにいった試しがないのである・・・。


■2008-10-06-Monday 選挙

衆議院の解散総選挙は?

当初は11月2日の総選挙を目論んでいたらしいが、リーマンショックやら支持率調査での不人気に怖気をなしたのか先延ばしになった模様である。

今の景気で選挙などやられたらたまったものではないが、選挙をやるぞ!やるぞ!と言いながらいつまでもやらないのも困りものである。解散は総理大臣の特権なのだから麻生首相はさっさと日程を決めてほしいものだ。

そんな中、北海道の十勝を選挙基盤とする中川昭一金融・財務大臣が先日帯広に選挙事務所を開設した。彼は麻生総理の友人だから、感触としては選挙が近々行われるのであろうことを察知しているのだろう。選挙事務所を構えるのもかなりの経費が掛かるはずだから、何にも使わない事務所をただ開いているというのも不自然な行為だ。麻生総理は解散はしないと言いながらも、ある日突然に解散して民主党の機先を制するつもりなのだろうが、一番の側近が事務所開きをしてしまったら作戦はモロバレである。中川昭一も今度の自分の選挙はかなり危ないと判断して焦っているのかもしれない。

失言で失脚した中山成淋が次の選挙には立候補しない旨を発表した。今回の一連の失言は確信があってやったことだと言っているわりには、とても見苦しく政治家の地位に未練たらたらの発表であった。それならあんな発言などしなけりゃよいのにアホなおっちゃんである。ただ自民党にマイナスポイントをつけただけの時期も内容も最悪の発言であっただけのことだ。こんな人間でも大臣になれるのであるから日本の政治家の質も落ちたものだ。

それこそ「日教組の子供は頭が悪くても先生になれる」という発言はそっくりそのまま「政治家の子供は頭が悪くても政治家になれる」と日教組にやり返されそうである。

宮崎県ではこの失言で辞めた中山に代わり、東国原知事を衆院選に擁立しようという動きが出てきた。本人も県民の世論が押してくれたら出るようなことを言っていたが、いい加減にしろと言いたい。知事になってまだ一期目の途中ではないか。「遣り残した仕事がある」ときっぱりと否定するべきである。それとももう知事としての仕事は全て終えたとでも言うのだろうか?自分の出世のことしか頭にないように感じる。

まぁ、結局こんな程度の人物しか政治家にならない日本という国も悲しい国である。


■2008-10-07-Tuesday マジック教室

先月からマジック教室を始めた。

8月初旬に帯広畜産大学の学生から「マジックを教えて欲しい」との電話が入った。「8月14〜16日の平原まつりに大道芸人たちが来るのでその世話で忙しいし、その他にも8月は行事が詰まっているから、9月に入ってからなら・・・。」と言葉を濁してごまかしておいたのだが、合わせて「大道芸のスタッフとしてボランティアで手伝わないか?」とも言ってみたら本当に手伝いに来た。さすがにこれでは断れなくなってしまったので教えてあげることにしたのである。

電話してきた学生は4年生なのだが「卒業までに女性にモテルようにマジックを覚えたい」という不純な動機なのである。マジックが出来るだけでモテようなどというのは甘い考え(それなら私は今頃モテモテになっているはずではないか)である。一人だけにマンツーマンで教えるのはもったいないから、「誰か下級生の友人を誘って来なさい」と言ったら2年生を一人連れてきたので、二人に毎週マジックを教えることになったのである。

学生だから道具に掛けるお金が無いという。初めから学生から金を取ろうとは考えていない。カード(トランプ)マジックなら630円のトランプ一組を用意すれば、その気になれば1万種類のマジックが出来るようになる。トランプなら持ち運びも楽だし、お金も掛からないし、種類も多いということでカードマジックを教えることにした。

カードマジックはまったく技術のいらない簡単なものから、超難度の技術を駆使するものまでバラエティに富んでいる。私も最近は練習を怠けているから、教えることで再度、練習をし直してみようかと考えたのだ。

まったくの初心者にカードマジックを教えるのは、なかなか根気がいる作業である。器用不器用というのもあるがなによりセンスと練習の積み重ねが重要なのだ。復習をキチンとやっていないとすぐに着いて来れなくなる。まぁ学生は暇だから大丈夫だろう。私が大学生時代には毎日8時間は練習していたものである。

その時代にやっていたマジックをもう一度やり直してみようと、5000冊も持っているマジックの本の中から探しだそうとするのだが、どの本に載っていたのかよく覚えていない。不思議なもので探しているものだけがなかなか見つからないのである。さすがに5000冊の中から見つけ出すのは結構困難な作業なのである。

これまでは初級編で、やり方さえ覚えれば出来る簡単なマジックばかりであったが、次回からは中級編に入って、難しいテクニックが混じってくる。果たして彼らはついて来られるであろうか?先が楽しみである。


■2008-10-09-Thursday 旭川

8日に旭川で講演してきた。

旭川の観光協会主催の講演会である。

自動車の運転が嫌いなので列車で行く事にしたのだが、帯広—旭川間のJRは実に不便なのである。一日に2往復しか快速列車が走っていないのだ。事前に調べてみたら、帯広発09:20の快速「狩勝」に乗ると富良野着が11:32、富良野で11:45発の各駅停車に乗り換えて旭川に12:55に到着という列車(所要時間3時間35分)があった。13:00から旭川市内で打ち合わせというスケジュールなので少し遅れるが、これで行こうと思っていた。すると、知人が「富良野—旭川間の各駅停車の列車はやたらと揺れて列車に酔ってしまうよ」と忠告するのである。それなら札幌回りで行こうと思って調べたら、帯広発07:58−札幌着10:31・札幌発11:00−旭川着12:20という列車(所要時間4時間22分)があった。迷ったが結局、札幌回りで行くことにした。列車のシートが札幌回りの方が格段に良いから、たとえ時間が余計に掛かっても身体的にはかえって楽だろうしと判断したのである。旅費は先方持ちだし・・・。

旭川に到着してこのことを話したら帯広—旭川には「都市間バス」が走っているというのだ。バスのことは頭にまったく無かった。おそらく4時間程度で着くのであろう。しかし、バスの中で本を読むのは辛いことである。バスに酔ってしまうからだ。本を読まずに4時間の時間つぶしは楽ではない。やはり列車の移動の方が楽である。

私のように車の運転が嫌いな人間もいるし、これからは運転したくても運転すらできない年寄りが増えてくるのだ。

北海道は広い!もう少し公共交通機関の利便性を上げる必要がある。


■2008-10-10-Friday 旭川のマジシャン

旭川で講演終了後に懇親会が催された。

観光協会長さんが経営している食事の店と高級クラブを二軒はしごして、ホテルに戻る段になったら一緒のホテルに泊まっている人たちがもう一軒、寿司屋に行くと言い出した。お腹はすでに一杯だし、飲み始めたらほとんど食べない主義なので遠慮した。

旭川に到着してから講演の打ち合わせまでにまだ時間があった時にホテルのロビーに置いてあった旭川のナイトスポットを紹介する小冊子に目を通していたら、マジシャンの店という文字が目に入ったのでその店に行きたいと思っていたのである。旭川の方が一人同行してくれるというので二人でその店を探し出して入店した。

小冊子には「初代引田天功の内弟子」と書いてあったので、どんな人なのか楽しみにしていたのである。私も大学生時代に初代引田天功の弟弟子のジミー忍師に師事していたから何度か天功師とは一緒にステージに立っていたからだ。

店内に入ってカウンター席に坐ったが、その店の店主だというマジシャンの顔に見覚えがまったくない。私はもともと人の顔と名前を覚えるのが苦手な人間だから、たぶん忘れているのだろう、その内に思い出すかもしれないとマジックをみながら飲んでいたのだが結局最後まで思い出せなかった。

他にもお客さんが居たので、私は初代引田天功の門下だとは名乗らなかった。ただ学生時代からマジックを趣味でやっているとしか言わなかったのである。

そのマジシャンは「自分は引田天功の一番弟子だった。」と言って初代の色々なエピソード(コンピュータで検索できる類の他愛もない話)を得意げにするのである。それなのに初代引田天功と一緒に写っている写真は店内には飾っていない。代わりに二代目のプリンセス天功と一緒に写っている写真は何枚か飾ってあったが・・・。

私は初代の引田天功師の内弟子は唯一初代が生前に引田を名乗らせた「トシミ」さんのことしか知らない。私が大学を卒業したのは1980年だが、初代はその前年の1979年12月31日に死亡している。彼は初代の弟子だったと言うが、二代目のプリンセス天功ことまりちゃん(本名:板倉満里子)が初代に入門したのは、私と同じ1976年のことだから、彼とはどこかで顔を合わせていてもいいはずなのに・・・。

彼に年齢を訊ねたら「永遠の27歳です」とプリンセス天功と同じ様なことを言って明かさなかった。どうみても私よりは若そうだったから年齢が合わないような気がして、店を出てからホテルに戻る道すがら、わが師、故ジミー忍師の奥さんに電話して聞いてみた。すると、やはりそんな人間は知らないという。ママ曰く「日本ではマジシャンで有名なのは初代引田天功くらいしかいないから、マジシャンは初代の弟子だったと言う人が多いのよ」と。

確かに当時はテレビに出ていた有名なマジシャンは引田天功師くらいであった。しかし、マジシャンとしては技術的にはけっして上手い人ではなかった。むしろテーブルマジックなどのテクニックを必要とする部門は不得手だったのではなかったろうか?

その初代の一番弟子を名乗るのはあまり得策とは思えないのだが・・・。


■2008-10-14-Tuesday 容疑者Xの献身

またまた映画を観に行った。

今度は東野圭吾原作の「容疑者Xの献身」という邦画である。私はあまり気乗りがしなかったのだが、妻が福山雅治の大ファンで、どうしても観に行きたいというからお付き合いをしたのである。夫婦50歳割引は二人でないと割引にならないシステムなのだ。一人だけで入ると入場料は1800円だが、夫婦二人だと2000円(一人分1000円)だから200円足せばもう一人が観られることになる。二人で観た方がとても得なのである。

映画では福山雅治と柴咲コウの主役の二人は、どんな役柄を演じてもそのままで変わりがないが、松雪泰子と堤真一の二人の演技が光っていた。最近、邦画を良く観るが、最近観た中でもこの二人は「デトロイトメタルシティ」や「クライマーズハイ」などの作品にも出て良い演技をしていた。やはり俳優はいろいろな役柄が演じ分けできなければならない。特に松雪泰子は「デトロイトメタルシティ」での女社長役と「容疑者Xの献身」での役は180度も違う個性なのに巧みに演じ分けていた。私が審査員なら日本アカデミー賞の助演女優賞を贈呈したいところだ。

最近の邦画は面白い。洋画の派手なアクションも映画ならではであるが、最近のは単純過ぎて面白みに欠ける。その点、邦画には派手さはないが人物描写などに共感がもてる。

しかし、映画館には入場者が少ない。休日(体育の日の月曜日)の夜20:45からのものであったが、客数は20人もいなかった。映画は安くて楽しめる娯楽であるからもっと多くの人達に観てもらいたい。帯広から映画館が撤退などという事態にならないようにしたいものだ。


■2008-10-16-Thursday 世界経済

世界的に株が乱高下している。

アメリカのサブプライムローンが発端となってリーマンブラザーズなどが破綻した影響である。1929年の世界大恐慌のような事態にまではならないと各国の識者(と言われている人たち)が言っているが、本当にそうなのだろうか?

確かに、29年当時とは比べものにならないくらいに世界的に協調姿勢を取っているようには見える。しかし、サブプライムローンに代表される様な複雑化させて実態を解かり難くしている金融商品の正確な損失というものが簡単につかめるものなのだろうか?

アメリカの手口を見ていると、国家的な詐欺をしているように感じてしまうのは私だけなのだろうか?

さんざんインチキな金融商品で何十億円という巨額の報酬を稼いでいた今回破綻した会社のお偉方の勝ち逃げが許されるのか?

騙して、さっさと儲けて、そして逃げて、潰した会社の後始末は税金で、なんてことが許されて良いはずがない。世界恐慌を引き起こさない為に緊急に税金を投入することは認めても、勝ち逃げは許せない。こんな連中の個人資産は全額没収するべきだろう。

今の世の中の向かっている方向はおかしい!

機械化、省人化することでコストを削減するのは「合成の誤謬」である。コストを削減した会社は一見すると業績が上向いたように見えるが、社会全体の会社が皆、これをやったら働く人が減ってしまう。働く人はイコール消費者でもあるのだから、会社から人がいなくなっては消費は伸びない。簡単な理屈だが、依然としてコスト削減、効率化の波は消えない。何度も書いてきたことだが、人は働くことで収入を得、尊厳を保つのである。一部の高所得者からの施しで、多数の国民が生活するような国は、国民から尊厳を奪うに等しい。小泉や竹中の進めてきたことは間違いだ。

ガラリと方向性を変える政策が必要だと思う。


■2008-10-17-Friday 温かい日

このところ温かい日が続いている。

13・14日と二日連続で23℃を越えた。8月中旬並みの温かさである。例年ならお盆を過ぎた頃から秋の気配になるのにチョットおかしい天気だ。

でもその分ゴルフが長くできるかもしれない。10月中旬に半袖シャツでゴルフをやったのは初めてのことである。今年の今日現在の予定では18日(土)が最後のゴルフの日程になっている。今年4月20日から始めてそれで通算47回目のプレーになる。当初目標であった過去最高回数の55回には届きそうにはない情勢だが、このまま温かい日が続いたらどうなることやら・・・。

これまでの46回のゴルフの平均スコアを調べてみたら86.5であった。シーズン当初にハンディ5以下の片手ハンディになるぞという目標には到底及ばなかった。現在のハンディが8.7なのだが、アンダーの80打以下で回れたのは五分の一の9回だけだからまったく無理な目標であったということだ。やはり練習嫌いが災いしている。このままでは逆にハンディが二桁に戻ってしまうかもしれない。

来シーズンは青年会議所のゴルフ部会である「じゃがいも」の会長を務めなければならない。無残なスコアではカッコワルイから、冬にしっかりトレーニングして飛び出た腹をなんとか引っ込めよう(毎年言っているが・・・)。

来年こそハンディを少なくしてやるぞ!


■2008-10-19-Sunday 久し振り

今日は珍しくスケジュールが皆無であった。

日曜日に何もスケジュールが入っていないのは久し振りのことである。

妻は朝から商工会議所婦人部のボランティア活動で、帯広競馬場で開催される「人間ばん馬」の手伝いで出掛けてしまった。

ゆっくり昼まで寝ていようと思ったのだが、犬たちがベッドまで来て私の顔を舐めて「早く起きろ!」と起こしにくるのでゆっくり寝てもいられない。

結局いつもと同じ時間に起きて犬の散歩に出掛けた。今日の散歩はいつもの距離の倍以上の長さを歩いてやった。犬たちも喜ぶかと思ったのだが、後半は途中でヘタって座り込んでしまうのである。もう老犬の域に達しているからなのだろうか?犬も急な長距離の散歩などは迷惑なのかもしれない。

毎年この時期は散歩が終わったら庭の「梨」の木に生った果実を一個ずつ与えるのが慣例になっている。今年は生った個数が少なくて丁度今日与えたのが最後の果実になってしまった。

我が家の梨は人間が食べるには甘味が無いのであまり適さないが、水分が豊富なので犬には丁度良い味なのだろうと思う。散歩から帰ると「早くよこせ!」と催促されるのである。明日からしばらくは「梨はもう無し」と分からせるまで時間が掛かりそうである。果たして来年は二匹ともまた梨が食べられるであろうか?

何もすることがないので、家の前の道路に溜まった落ち葉を集めてゴミ袋にまとめた。まとめてみると結構な量になり大きなゴミ袋が2つが満杯になった。午後に近所のラーメン屋でラーメンでも食べようかと外に出たらもう道路が落ち葉で一杯になっている。この時期は仕方がないとは思いながらも「せっかくさっき綺麗にしたばかりなのに・・・」と少し頭にきてしまう。

午後からはテレビでスポーツ観戦をした。日本ハムが3回で5−0と勝っているのでこれなら大丈夫だと、チャンネルをNHKに替えてゴルフの日本オープンを見たら、まだ17歳の石川遼選手が2位と頑張っている。一緒に回っていたB・ジョーンズ選手の方が石川選手よりも身長が高いのでドライバーもユッタリ振っているようなのに飛ばし屋と言われる石川選手よりも飛んでいた。私ならそれだけで崩れてしまいかねないが石川選手は目一杯に振り回して結局2位をキープした。華のある奴はやはりどこかが違う。優勝は25勝目で永久シード権が懸かった片山晋呉が安定したゴルフで2位の石川に4打差で楽々逃げ切った。完璧に自分のゴルフを展開した片山選手の精神力の強さは素晴らしい。

片山が18番の2打目を打った時に、犬たちが午後の散歩に連れて行けと催促に来た。優勝は決まったからまぁいいかと早目に家を出て散歩に行った。今度の散歩は通常の距離にしておいた。

戻って来たら家の前の道路は落ち葉だらけであったが、ここでまた集めても同じ事だと思い集めるのは止めにして家に入った。

妻は競馬場でボランティアが終わった後、帯広空港での仕事に直接向かっている。亭主がのんびり家で寛いでいるのに良く働いてくれる妻である。感謝!感謝!

お詫びに夕食でも作ってあげようかと思ったのだが、せっかくの休日だから徹底的にゆったりしようと思い直し、6時半に戻って来た妻を誘って焼肉を食べに外出し、その後は温泉に浸かって戻り、自宅でビールを飲んで寛いだ。久し振りにユッタリした日曜日であった。


■2008-10-20-Monday ホスピタリティ

季刊iichikoという本が毎号届く。

「十勝場所と環境ラボラトリー」設立におおきく関わっていただいた東京の「文化科学高等研究院」のゼネラルディレクターの山本哲士さんが編集している本で、焼酎いいちこのメーカーの三和種類株式会社が企業メセナで発行している本である。今日送られてきた本が100号で22年間も続いている。

今回のテーマは「ホスピタリティ世界の文化学」という特集である。山本哲士さんの「場所論」は私たちの活動の理念になった哲学だ。山本さんの文章は難しい言い回しが特徴で、読書が大好きな私でも5分読んだら眠くなるという睡眠導入剤としては格好の本なのである。が、書いてあることはやたら難しくても長く付き合っていると何となく体感出来るようになってくる不思議な理論でもある。

例えば「ホスピタリティ」と「サービス」の違いを1対1と1対多との関係とか、「箸」と「フォーク」の違いを述語のアクティビティと主語のアクティビティと表現したりするのだ。解る様で解らない、解らないようで解るという表現に感じてしまう。

山本さんが言うホスピタリティを私流に少し噛み砕いて書けば(間違っているかもしれませんが・・・)「ホスピタリティは1対1の相手のことを考えて自分というものをなくしてしまうのではなく。常に自分が自分に対してどうするかということを選択していく技術だ」とのこと。なにやらこれでも分かりづらい。

是非一度読んでみることをお勧めする。とても面白い発見があると思う。


■2008-10-21-Tuesday 希望のないニュース

現在の世界に明るい未来はあるのだろうか?

アメリカ発のサブプライムローン問題で世界大恐慌が起こるかもしれないと騒いでいる。毎日のニュースは暗い話ばかりである。昨日、アメリカの自動車会社のビッグ3と言われている会社のGMとクライスラーが合併するかもしれないとの報道があった。そうなると何千人かの人員削減は必至であるとの内容である。何度も書いていることだが、人員削減をして一体どうなるというのだろうか?

削減した会社は一時的には人件費という経費の削減にはなるのだろうが、世の中の全ての企業が同じ事をして失業者が溢れてくれば、自動車などの高額商品は益々売れなくなるだろう。自分で自分の首を絞める行為である。

日本では品川駅前の京品ホテルがリーマンブラザーズ破綻の影響で廃業することになったとのニュースがあった。社長と従業員達との激しいやりとりが画面に流れ、従業員達はホテルに泊まり込んで営業を続けるつもりだとの内容であった。突然に廃業、従業員は全員解雇というのもやりきれない話であるが、従業員の乱暴な態度を写し出したニュースを見たら、この様な状態のホテルに泊まりたいという客はいないであろうから、逆効果ではなかろうか?従業員が自分達でお金を出し合って経営するというならまだしも、これではある意味、不法占拠に近いのではなかろうか?

今回のサブプライムローンが発端となった恐慌は罪が深い。とにかくやたらと複雑にして解りづらくすることでリスクの大きい商品をバラ蒔いていたのだから、実態はまだまだ闇の中である。株価が急落したのは買いのチャンスだと言っている人もいるが、専門家ですら実態が把握出来ない状態なのに、素人が博打を打つようなことは怖くて出来ない人が大半であろう。

先進国では自動車や電化製品や服飾品は自宅に溢れているような状態だから購買意欲は普段でさえ湧きにくいのに、何時、世界恐慌が起こるかなどとニュースでやられては買う訳がない。おまけに日本では少子化で人口が減っているのだから新たな需要も少ないだろう。

そんな中で、役人の無駄使いのニュースも盛んに流れている。更に埋蔵金などと表現されている隠し金まであるようだ。補助金の不正流用も全国の役所がやっていて恒常的に行われていたらしい。消費税を上げる云々よりもそうした無駄金をしっかり洗い出すほうが先である。

私にも2〜3月にかけて毎年、講演の依頼が集中する。この時期に一番集中するのは余った予算を使い切る為に講演でもやっておこうかというのではないのだろうか?

経済も人口も右肩上がりだった時代なら予算を使い切るというのもまぁ許せた部類だ。しかし、経済も人口も右肩下がりの時代には予算を翌年度に繰り越すという180度の発想転換をしなければならない。税収が下がっているのに無駄な事に使い切るという考えは改めてほしいものだ。

やはり、根本的に制度を変える時期が到来したのだろうと思う。


■2008-10-22-Wednesday 雑誌に紹介された!

「スロウ」という雑誌に私のことが紹介された。

「スロウ」は帯広のソーゴー印刷という印刷屋さんが出版している季刊誌で今回のが第17号になる。北海道を楽しむマガジンというコンセプトだ。その本の中の「北海道 来るべき未来を見つめて」という高原淳社長自らが執筆担当しているコーナーの第10回目の紹介者として私が登場したのだ。

きっかけは今年8月9日(土)に帯広のとかちプラザで開催された北海道印刷工業組合の全道大会での私の講演であった。当日スタッフとして働いていた高原社長が私の講演を聴いて北の屋台のことをもっと詳しく聞きたいとインタビューを申し出てきたのである。

いつもの私の講演なら90分間みっちり話すのだが、この大会で私に与えられた時間は40分間だけであった。いつもの半分以下である。しかし、依頼者の要望に応じて臨機応変に講演時間の調整をしなければならないのが講演者の努めでもある。この日もところどころ飛ばしながら講演を終えたのだが、「もっと詳しく聴きたいという欲求が湧いてきた」と言ってくれたので嬉しくなってインタビューに応じたのであったが、つまるところは40分間では伝えきれていなかったのが実状であろう。

もう、優に300回以上は同じ話をしているのに、まだまだ未熟ということである。

「スロウ」の記事では高原社長は元々がカメラマンであるから写真を上手く使ってページを構成している。

私も文章を書くのが好きで本も2冊出版しているが、自分で自分の事を書くとどうしても主観的になってしまう、しかし他人に書いてもらうと客観的に「あぁ、そういう風に感じるのか!」と面白い発見があるのである。今回も上手くまとめてくれた。

「スロウ」という本は、地方都市の出版社が挑戦している新しいタイプの本である。これを機会に是非、読んでもらいたい。25日の発売だそうだ。


■2008-10-23-Thursday 禍福は・・・

禍福は糾(あざな)える縄の如し

というがまさにそのような事件が起きた。2億円の宝くじに当選した女性が殺害されたというニュースである。

宝くじにさえ当たらなければ殺されるようなことはなかったであろうに・・・。彼女は果たして幸運だったのか、それとも不運だったのかよく判らない人生だ。

殺したという男も普段見慣れないような高額のお金を前にして人間としての理性が歪んだのであろう。どちらにしても宝くじに当選したことで人生を誤ってしまったケースだろう。

人間は羨望と嫉妬の生き物である。

労せずして大金を手に入れる宝くじのようなものは特に対象になりやすい。宝くじはつい嬉しくて誰かに当選したことを話してしまったら、瞬く間に噂が飛び回り、見知らぬ人物からも借金を頼まれるというのだから、当たっても内緒にしておかなくてはならないだろう。

一等に2億円も出さずに1千万円を20人に出した方がよっぽど良いのではないかと思うのだが、それでは魅力が無くて売れないらしい。宝くじは沢山売れなくては成立しないから、射幸心を煽るためには高額の当選金にする必要があるのだという。一攫千金を狙うというのも時代を反映しているのであろうか。

かく言う私もロト6を毎週買っている。ジャンボ宝くじのように当選番号を他人任せにしたくないから、自分で選んだ同じ数字でずっと買い続けているのだ。去年は年末の最後の週だけ忙しくて買い忘れたら、何とそれを買っていたら19万円ほどになったのにと、とても悔しい思いをしてしまった。今年もこれまでに1000円以外は当たっていない。今年は忘れずに最後の週まで買い続けるぞ!


■2008-10-24-Friday ホテルのバー

麻生首相が叩かれている

毎晩のように高級ホテルのバーでお酒を飲んでいて、庶民感覚から離れているというのである。どこで酒を飲もうがドーデモ良いことではないか!

ホテルのバーは私もよく使うが、麻生首相が言うように決して値段は高い場所ではない。

ホステスが居ない分、落ち着いて飲めるし、夜景も美しい。ウィスキーもボトルを入れる必要がないショット売りなので一杯が700円位からだし、せいぜい3杯も飲んだら酔っ払うから、おつまみを1品取っても3000円以下で飲めるわけだ。麻生首相は私の様な安酒は飲まないだろうが、高級な銘柄でも一杯が2〜3000円程度だから1万円程度で飲める計算だ。

銀座の高級バーなら座っただけで4万円はするというし、料亭に行ったらもっと掛かるのではないのだろうか?私は両方とも入ったことなどないから分からないが・・・。

庶民感覚なら焼鳥屋や居酒屋で飲め!と言うことなのか?そんな場所に時の首相が来たら警備のSPも大勢いるし警護は大変だし、先客はしらけるしで店にとっても迷惑なことだろう。

そんなことにケチをつけてどうするというのだろう。日本のマスコミはよっぽど暇らしい。


■2008-10-25-Saturday 特徴のあるまちづくり

帯広市の市街化調整区域編入が問題になっている。

この問題に関しては、私自身が中心街に店舗を構えている身であるから、どうしても他人からは身びいきに見えてしまうという懸念もあって論評を避けてきたのであるが、帯広市の行く末に不安を感じざるを得ないので論評することにする。

今回の編入に対する意見として「郊外に暮らす人の生活利便に必要」とか「市街地に調整区域があるのは好ましくない」などが出たという。これはまさしく「正論」である。が、しかし、『「正論」の積み重ねが必ずしも正しい(好ましい)結論にはならない』ということを経済用語で「合成の誤謬(ごうせいのごびゅう)」(ミクロ的に見れば一つ一つが正しい事であっても、その正しいことの積み重ね(合成)がマクロ的には間違った(誤謬)結果を生み出す)というのだということをこのコラムでも何度か書いた。

端的に言うと、「市長は役人であってはいけない」ということが言いたいのである。市役所内には1500人からの役人がいる。彼らは選挙によって選ばれた人達ではないから公平の原則に則って行動をしなければならないだろう。だから、手続き上瑕疵(かし)のない書類で申請されたら受理せざるを得ないのだということは理解できる。

しかし、市長は選挙公約を掲げて立候補し、それを市民から認められて市長に当選した身である。役人ではなく政治家なのだ。

市長公約に「コンパクトシティ」というものがある。これは「これまでの人口増加を前提としたまちづくりから、人口減少を考慮したまちづくり」への転換の中で不用意に街を拡大しないで中心街にコンパクトに街をまとめていこうというものなのだ。街を拡げるために掛かる税金は結局市民の負担として跳ね返ってくるからだ。

今回の一連の事態をみても砂川市長がコンパクトシティの概念をまったく理解していないことは明白である。ただ流行の言葉だから選挙公約に入れたとしか思えない。もし理解しているなら「コンパクトシティの公約を実現する為に郊外には商業施設を拡大しない」「だからこの申請は受理しない」と言い切れば良いのである。それが政治家としての市長の仕事である。それを「申請は受理せざるを得ない」などと役人のような(あっ、砂川市長は北海道開発局の役人だったっけ)ことを言うから問題が発生するのである。

市長というのは自分が掲げた公約の実現を第一に考えなければならないのである。そのために市長には為政者としての大きな権限が与えられているのである。市役所の役人と同じ考え方しかできないのなら存在価値がまるでないではないか。

役人がまちづくりをやったら全国各地はどこも同じ様な特徴の無い街になってしまう。これからは場所に合った特徴のあるまちづくりをしていかなければ生き残ってはいけない時代なのだ。ただニコニコしていれば良いというものではない。

国から指定を受けた「環境モデル都市」としての考え方にも今回の編入は誤っている。

砂川市長には信念とポリシーを持ったまちづくりをしてもらいたいと思う。


■2008-10-26-Sunday デート

デートをした

25日の土曜日に夫婦で映画と食事とカラオケに行ったのである。周りの人達からは夫婦でデートをするなんてと変人扱いされている。

映画は最近観過ぎてしまって、観ていない映画がほとんどなくなってしまったので新聞の映画案内欄を見て「R−15指定」と出ていた「ウォンテッド」を観ることにした。テレビのCMでアンジェリーナ・ジョリーの後姿のヌードが映っていたのでそちらの方面(どんな方面だ?)を期待して選んだのである。

期待に反して彼女のヌードはCMと同じこれだけでセクシーな場面はほとんど無かった。

アンジェリーナ・ジョリーはデビューした頃(前かもしれない)に夕張映画祭に父親のジョン・ボイドと一緒に来日した時のニュースで見てなんてドブスな女だと思ったものだ。スッピンで化粧っ化が無く父親をそのまま女装させたような顔であったという印象しかない。それがツームレイダーあたりからやたらとセクシーな女優に変身した。そうなるとあのでか過ぎる目や太いタラコ唇がとても魅力的に見えるのだから人間の好みというのは不思議なものである。

妻はこの手の映画はあまり好みではないらしく、アンジェリーナ・ジョリーも顔の造作がやたらとでかいブスな女にしか見えないようなのである。男と女とでは美人の観点が異なるのであろう。映画の内容は面白かったがやたらと人を殺しまくる映画は見ていて気持ちの良いものではない。R-15の指定は殺人の場面が多いところからだというのは観終わってから気が付いたのであった。

映画の後は初めての居酒屋に入店した。予約無しで行ったら満席であった。帯広では新しい店はどこも流行っている。十勝人の新しもの好きの性格が現れているようだ。帯広ではオープン時よりもその後が長続きするかどうかが問題なのである。1時間だけならOKと言うのでそそくさと注文して、さっさと食べて店を出た。

そのまま自宅に戻ろうかと思ったのだが、妻が久し振りにカラオケに行きたいと言い出した。こちらも1時間だけ歌いまくって家に戻った。

この日は中心街にずいぶん人が出ていた。正装している人が多かったから結婚式でもあったのだろう。不景気になるとまずは外食を控えようという意識になるらしいから、帯広はまだまだ危機感は薄いのだろう。夜の街がしんみりしていると気分も暗くなるから、皆もっと酒でも飲んでパァーッと明るく行きましょうヤ。


■2008-10-27-Monday 勝毎論壇 2

2008.10.20十勝毎日新聞掲載

「北の大地de大道芸」

今年の出演者は7組9名、クラウン芸から絵描きまでバラエティに富んだ人選をした。十勝の客のマナーは格段に良くなってきている。観客が集まり易い、乗りが良い、投げ銭(見物料)が多いと三拍子揃っていた。7年続けたことで見方が浸透してきたのだろう。

十勝の大道芸フェスティバルは手作りのイベントだ。7年前(2002年)に、旧知のマジシャンから大道芸をする場所を確保できないかとの相談があったので、平原まつりに坂本ビル前で演技してもらうことにした。マンネリ化したまつりに新風を注ぎ込みたかったのである。まつり前日に帯広入りした女性社長、イギリス+日本人コンビの3人と、かつてプロマジシャンを目指したことのある私は、芸能談義を激しく交わし合い、すっかり意気投合したのであった。

彼等の芸は、本物であったから観客にもおおいにうけた。テレビで芸NO人たちのくだらない番組ばかりを見せられていた人達にはとても新鮮に映ったことであろう。

気候は涼しい、食べ物は美味い、客の反応も良いということで、来年は仲間達を大勢引き連れて来たいと言ってくれた。

だが、芸人の数を増やすだけでは、大道芸を使ったまちづくりにはつながらない。「十勝の大道芸は他所の地域の同種イベントとは異なるコンセプトで運営する」ことで意見が一致した。すなわち、興行主と出演者というタテの関係ではなく、芸人もスタッフも共に楽しみながら運営するヨコの関係にしたかったのだ。だがナァナァな関係ではない。例えば連帯感やワクワク感を創りだすためにスタッフと芸人の楽屋を一緒にしてあるから、出番合間の入念な練習風景や人となりなどが垣間見られるのだ。この手法は良好に進んでいる。

大道芸は芸人と観客とスタッフの三者が協力して「場」を作り上げていく芸能である。いわばコミュニケーション空間なのである。今年の大道芸では芸人にいじられた素人の観客の反応が芸人の演技よりもうけていた場面が何度か見受けられた。芸人と観客のやりとり、そしてそれを支えるスタッフが揃って初めて楽しい「場」が創造できるのだ。

7年続けていると、観客もその辺のやり取りが体感できているからか、今年の大道芸には随所に、この絶妙なコミュニケーションの「場」が出現していた。

そうなるとまた来年に向けて更に面白い企画を実現させてみようという力が湧いてくる。「まちづくり」にはこうしたやる気を継続して出させる仕組みが重要だと考える。


■2008-10-28-Tuesday 温泉街

十勝川温泉のホテル経営者と話した。

今年は7月7〜9日に開催された洞爺湖サミットの影響で北海道中の観光関係は壊滅的な打撃を受けたというのである。

世界中の要人が集まるのであるからテロを警戒して厳重な警備体制を引くであろうという予測を一般の旅行客が持ってしまった。特に玄関口である空港の警備はどの空港も厳重であろうと。

空港での過剰なチェックで嫌な思いをしたくないというのは、ごく当たり前の感情である。当然その時期への北海道への旅行は控えようと考えるのはごく普通の感覚だ。

ご当地洞爺湖のホテルが良かったかといったらどうやらそうでもないらしい。一般客は敬遠するので会場になったウィンザーホテルのみが世界中にアピールできて良かったという程度だという。

このサミットの影響は、さすがの旭山動物園も受けたようで今年の入場者数が減少してしまったという。多額の経費を掛けてサミットを開催しても何のプラス効果も無かったどころか、かえってマイナス効果ばかりであったと言うのである。

そこに来てこの世界的な不況である。

観光関係者によると、普通は円高になると日本人が海外に出掛ける海外旅行が増えるのだが、この不況ではそんな悠長な気分にはならないだろう。かといってその分、国内旅行をするかといえば、不況の時に真っ先に控えるのが旅行だから、それも無いだろう。中国や韓国からの旅行客も円高では、メリットがないから日本には来なくなるという。世界的に景気が回復し円安にならないと日本の観光業は立ち直れないと力説していた。

今回の世界的な金融恐慌は観光にも大打撃を与え始めている。

日本の温泉地はこれまでホテル内への「囲い込み」政策を取ってきた。すなわち、御土産屋やバーやラーメン屋やカラオケまでホテル内に造って、一旦中に入れた客をホテルから一歩も外に出さずにホテル内で全ての消費を行わせようとしたのである。結果として温泉街は廃れてしまった。

温泉街に何故、人が行くのだろうか?風呂に入るだけなら各家庭にだって風呂は付いているのだからそれは理由にはならない。湯池に行くのかといっても一泊二日では療養にならない。私は「非日常性」を楽しみに行くのだと思うのである。

温泉街では浴衣に下駄履きという全員が同じ格好をしているから「匿名性」があるのである。どこの誰かというのが判らなくなるから、日常生活ではできないことをしたくなるのである。だから温泉街にはストリップだとか秘宝館だとかという妖しげな場所があって、皆で羽目をはずして普段は行けないそんな場所に行って日常から開放されたのである。ホテルの中に造る施設にはそんな不健全なものは造るわけにはいかない。温泉街というのはホテルでは造れない猥雑な雰囲気作りに貢献していたのである。それが消滅してしまった。

会社ぐるみの社員旅行というのも無くなってしまった。温泉街に非日常性が無くなってしまえばわざわざ一泊で温泉地に行って酒を飲まなくても、街中の居酒屋で飲んだって同じことなのである。温泉ホテルは自分で自分の首を絞めたのである。


■2008-10-29-Wednesday トリックスター

土曜日に買った本

「トリックスター列伝」(松田道弘著、東京堂出版、10月20日発行)が面白くて一気に読んでしまった。副題に「近代マジック小史」と付いていてマジシャン、ペテン師、イカサマ賭博師、霊媒などのことを書いた本である。マジック関係の本を5000冊も収集している人間としては「マジック」とか「奇術」とかいう文字を目にすると買わずにはいられなくなるのである。

マジシャンのことについては他の本でも読んだことがあるのでそれほど新鮮な内容ではなかったが、イカサマ賭博師とペテン師の項には笑わされたし、とても為になった。

特に20世紀はじめに活躍(?)したタイタニック・トンプソンと仇名されたギャンブラーの話は傑作である。この仇名のタイタニックというのは有名な沈没した豪華客船からきているというが、その説にも3通りの言い伝えがあり、どれが本当か判らないというから面白いではないか。このタイタニック・トンプソン(本名:アルヴィン・C・トーマス、1892年生)はサイコロ賭博であれポーカーであれゴルフであれ何でもござれのギャンブラーで、とりわけ「プロップ」の名人であったという。「プロップ」というのはProposition Bet(プロポジション・ベット)(提案する賭け)の略で「ある条件を提示した賭けをもちだし、その賭けにチャレンジさせるようにしむけるやり口」のことをいうそうだ。

プロップは相手に挑戦に応じてやろうというヤル気を起こさせることが先決で、しかも相手に自分は絶対に負けるはずがないと思い込ませることが肝心なのだという。しかし、一番大切なことは賭けの成立が自然発生的に見えることで、その場の気まぐれでとっさに思いついた様にみせることだというのである。何等の準備もしていない(または用意できるはずがない)と相手に思い込ませることが重要なのだという。

トリックの本質は、相手が考えてもいないところで秘密の準備が既にできあがっていることにある。というマジックの考え方にもピッタリ当て嵌まるのである。

彼のことを紹介した新聞記事には「ゴルフボールを1マイル飛ばしてみせるという賭けに勝った男」というキャッチフレーズが載っていたそうだ。その経緯は、ある時ギャンブル仲間とゴルフボールを400ヤード飛ばしてみせるという賭けを成立させた。ただし、コースは彼が選ぶという条件で。彼が一行を連れて行ったのは500ヤードの高さの崖の上だった・・・。怒りの収まらない被害者に、今度は必ず平地でやるという条件でもう一度賭けをさせた。ある寒い朝に賭けの相手を連れ出したのは一面に氷の張った湖だ。彼が打ったゴルフボールは600ヤードを優に越えて転がっていった。「何だったら距離を測ってみるかい。きっと1マイルはあるぜ」こんなセリフをはいたのだろう。そこから前述のキャッチフレーズなったそうな。

このゴルフのエピソードは北海道でゴルフやっている人間には真実味があるのである。私も10年ほど前のゴルフを盛んにやっていた頃は、雪が降ってゴルフ場が閉鎖になるまでしつこく通ったものだった。12月初旬の寒い朝などにゴルフ場の芝が凍っていたらボールが止まらずにどこまでも転がっていくのだ。地を這うような低いボールを打ったら400ヤードドライブも可能なのである。池もまったくヘッチャラだ。ボールが凍った池にいくとカーンと氷で跳ねてもっと遠くにいくほどなのである。そんな状態のゴルフ場でプレーしても良いスコアにはならないから今は行かないが・・・。

この本のエピソードを全て紹介するわけにはいかないがとにかく面白い本である。一読をお勧めする。


■2008-10-30-Thursday 大学は出たけれど

世界大恐慌時に言われた言葉だそうだ。

先日、大学関係者からおかしな話を聞かされた。今年の大学4年生で、先のリーマン・ブラザーズが破綻する直前までに就職の内定をもらった人たちはまだ幸せである。この世界的な金融恐慌が起こってから、その後は求人を控えようという空気が企業側に流れているからだそうだ。

大学4年生は就職が決まらずに大学を卒業してしまうといわゆる「就職浪人」ということになってしまい、翌年度の「新卒者」という新規採用試験の受験資格を失うらしい。だから、教授に頼んで一単位だけワザと不合格にしてもらい、もう1年間大学の4年生をやるのだという。卒業に必要なのは残り一単位であるから大学に通う必要はほとんどないので、親に迷惑を掛けないようセッセとアルバイトに精を出して学費を稼ぐのだという。

我々の学生の時には卒業単位が足りないと大学教授に何とか卒業させて欲しいと泣きつくのがほとんどだったのだが、大学を卒業させないでくれと頼むのだというのだから時代は変わったものだ。

株価が7000円を割った。恐らくはこれまで羽振りの良かった外国人投資家が母国の緊急事態で現金が急に必要になって売りまくっているのが原因だと思うのだが、株は心理が影響するから日本人投資家も影響を受けて売りに向かっているのだろう。

政府も早いとこ有効な政策を取らないと大変なことになってしまう。

せっかく苦労して大学に残っても、来年就職できるかどうかも怪しくなってしまったら学生は一体どうするのだろうか?


■2008-10-31-Friday 変な感覚

昨日の午前中に床屋に行って来た。

小学生の時からずっと通っている床屋さんだ。その床屋さんには鏡に映した状態で正常な画面に見えるテレビと時計がある。つまり客が鏡越しに普段と同じ状態で見られるようにブラウン管が反転しているテレビなのである。

今朝はBS放送でアメリカの野球のワールドシリーズを放映していた。試合はフィリーズが4−3でレイズを下して、ワールドチャンピオンになったのだが、テレビを見ていて不思議な感覚がしたのである。

散髪している時には普通の状態で見られるのだが、洗髪する時に席を立ってテレビ画面を直接見ると左右が逆転している訳である。ピッチャーには右腕もいれば左腕もいるし、バッターにも右打ちもいれば左打ちもいるから、ピッチャーがバッターに向かって投げているだけなら何にも違和感を感じないのだが、席を立って洗面台に向かう時にたまたまバッターが球を打って走り出したのだ。ところが左右が逆なものだから、バッターが三塁に向かって走っているように見えるのである。アレッと一瞬不思議な感じがしたのである。普段見慣れている光景とは逆の状態で見ると心が急に落ち着かなくなるのである。

精神の小さな動揺が起こったのであった。たかだかテレビの画面なのに普段と違う状態のものを見ただけでこんなに動揺するなんてと可笑しくなってしまった。

この感覚はマジックにも使えるなぁと一人ニヤニヤしながら散髪を終えたのであった。