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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2008-05-11-Sunday 道新、朝の食卓28 

北海道新聞2005年11月21日掲載「すれ違い」

便利になり過ぎるのも考えものだ。地方の学校に行っている子供たちから毎日の連絡が無いと妻がカリカリしている。わが身を省みて、学生のころ実家に電話したのは月に一度の「金送れ」の時だけだったじゃぁないかと言うと「時代が違う!」と怒りの矛先がこちらに向いた。

かつて銭湯が空になったという伝説のラジオドラマ「君の名は」(昭和27〜29年)のようなすれ違いは、国民のほとんどが携帯電話を持つようになってからは有り得ない話になってしまった。

昭和三十年代生まれの私の世代なら、生まれる前だった「君の名は」の世界も、便利さにそう大差が無いから分かるが、現代の若者なら「携帯を使えば良いのに」と不思議がって言うだけだろう。ここ最近の便利になるスピードは加速度的な速さでついていけない。

かつてどんな人たちが待ち合わせていたのか、想像をめぐらすのが楽しかった駅の伝言板も見かけない。出会いの感動や面と向かっての会話がない世の中になったと思う。

「便利も過ぎると情緒に欠けるし、ドラマが消えちゃうよなぁ」とつぶやいたら「出会いのすれ違いは少なくなっても、感情のすれ違いは増えたわよ」と妻が言う。それが一般論なのか自分たち夫婦のことなのか怖くてとても聞き返すことができなかった。