今回亡くなった有田宏は享年84歳、私の亡父の一つ年上の従兄弟である。父の母つまり私の祖母が有田の出で、有田宏の父親の重太郎と二人きりの兄妹という関係なのである。
父の兄弟はすでに全員が亡くなり、その連合いも残っているのは母だけだし、父の従兄弟も有田家の数人が残っているだけになってしまった。
17年前に父が亡くなった焼場で有田宏さんがポツリと「圭ちゃんは頑丈そうに見えたけど意外とあっさり逝っちゃったなぁ〜、俺は若い時から色々な病気をして早死にすると思っていたのに、俺より先に逝くなんて判らないものだなぁ〜」と私に言った言葉がとても印象に残っている。
宏さんは「宏雪」という俳号で俳句を指導していたが、学生時代から文学を愛した人生であった。若い頃に帯広の「市民文芸」や「凍原」という雑誌を発刊したという話は何度か聞かされたことがある。JCのOB会でお会いした時は「君はなかなか文章が上手いなぁ、いつも読んでいるよ。もっと色々な事を書いてドンドン発表しなさいよ!」と励まされたものだ。
宏さんは酔っ払うと文学論を滔々と述べる人だったが、内容は私には難し過ぎてさっぱり判らなかった・・・。でも本が好きな血は私にも流れているようだ。
これからも、親類が一人ずつ減っていき段々寂しくなってくる。また一人面白い人物が逝ってしまった。