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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2012-05-28-Monday オウム真理教

26・27日の2日間に渡って

NHKスペシャル「未解決事件」という番組で「オウム真理教事件」を取り上げていたので見た。

今回はこのシリーズの第二回目で、第一回目は「グリコ・森永事件」いわゆる怪人二十面相事件であった、これも興味深くて見たのだが、結構面白かったので、今回も見ることにしたのである。

26日土曜日の放送分はドラマ仕立てで、たいして新しい解釈や事実も出てこなかったし、麻原彰晃役の役者が似ていたなぁ〜ぐらいの感想しかもたなかったが、27日日曜日の放送分は面白かった。

まず、何が驚いたって、警察にも証拠として押収されなかった麻原彰晃の肉声テープ700本というものが出てきたというからである。

このテープの内容を聞いたら、これまで弟子達が、麻原の意志を勝手に忖度(そんたく)して暴走していたという通説が大きく変化することになると感じたのだが、何故にこれまで公にされてこなかったのか?

警察がこのテープを証拠として押収しなかったのはなぜなのか?大いに疑問が残ったのである。

今回の番組を見て感じたのは、麻原彰晃はただの盲目の妄想家にしか過ぎないということだ。

本来なら、麻原彰晃になる前の松本智津夫の段階で、すでに人々から相手にされないような誇大妄想的人間でしかないように思うのだが・・・。

何故に彼のような人間が、これだけの人達を動かし、国家転覆を謀るようなだいそれた事が出来たのかは、この番組を見ても依然として謎のままでまったく釈然としないのである。

どうやら麻原彰晃は人間操縦術的なものを最初から持っていた訳ではなさそうだ。周りに居た人間達が虚像を創り出し、その虚像が段々と勝手に増殖してカリスマとなっていったのだろう。

最初に事故(?)で信者が死んでしまった時に、それを隠蔽した瞬間から、犯罪者仲間としての連帯心理状態になったのだろう。まさに犯罪者のジレンマに陥ったのだと思う。

最初は、犯罪だとは判りながらも、ビクビクしながら皆でそれを隠蔽する。そして隠蔽することで、オリンパス事件のように組織に対する裏切りを許さない体質に変貌していくのだ。そこにあるのは、世間一般の倫理観ではなく、仲間間の極端に狭い歪んだ倫理だけだ。このジレンマに陥ったら抜け出すのは容易ではない。自分達の犯罪を認めなければならないからだ。それまで、失敗したことのないエリート達にしてみればそれは許されざる事だったのだろう。

ウソは一旦ついてしまったら、更にそのウソを隠蔽する為のウソを重ねなければならなくなる。やがてウソの上塗りも限界に達するのに・・・。

宗教、特にアヤシゲな新興宗教にハマって抜け出せない人間には、プライドの高いエリート達も居る。頭が良いだけに自分の失敗というものを認めたくないのだ。他人も全部その犯罪者の規範に従わせようとするが、意志の強い正しい人間を巻き込むことは難しい作業になる。やがて従わない人間はいっそポアして排除してしまえという論理に行きつくのではなかろうか?実に短絡的で未熟で幼稚な論理である。

私の身近でも似た様なことがあったから、この番組を見ていてハハァ〜ンなるほどなぁ〜と感じた次第である。

麻原彰晃が何も語らないから彼の本心がどこにあるのかは判らないが、彼は7億人分を殺せる量のサリンを製造させて、それを世界中にばら撒いた後に、一体地球をどうするつもりだったのだろうか?

その先の未来像がまったく見えないのだ。サリンでは人間どころか他の動物や植物だって死んでしまうのだから、地球そのものをこの宇宙から抹殺するつもりでもいたのだろうか?

恐らく、彼は自分が盲目であることなどから受けた世間からの苦痛を激しく呪い、この世界全てを消し去ってしまおうとしたのかもしれない。

こんなたった一人の狂人の誇大妄想が現実化しそうになったということが恐ろしいことである。

今回の番組でも、警察組織の宗教法人に対する弱腰というか、事なかれ主義というか、官僚主義というか・・・。それらが麻原彰晃という怪物を増長させ、サリン事件を起こさせたのだと感じた。結局、地下鉄サリン事件は警察が起こさせたと言えるのかもしれないなぁという感想を持った番組であった。