懇親会が終了した後に二次会をする為に、ホテルから出て街中に向かった。
懇親会で同じテーブルに着いた萩野虔一同窓会長と三遊亭好楽師匠、マネージャーの奥様の3人に北の屋台の話をしたところ「是非とも見てみたい」とおっしゃるので、3人と同じタクシーに乗って街中に出て、二次会の前に北の屋台を案内したのである。
3人とも北の屋台の店舗の組み立て、収納する様子などを見て「北の屋台はまるで坂本さんのマジックのようだ」と驚き、そして感心してくれた。
萩野会長には拙著「北の屋台繁盛記」などの関係資料をプレゼントした。
北の屋台を一通り説明しながら西から東に抜けて、似た様な形状の「十勝乃長屋」の中も抜けて二次会会場に向かう。
屋台と長屋の違いを一度に説明できるから便利なことである。
二次会でも大いに盛り上がったのであった。
その北の屋台を2期6年間営業して、今年3月に卒業した「綾乃」の田口さん夫婦が隣町の音更町の鈴蘭公園近くの高台にある自宅を改造して小料理屋を開業したというので、25日の夜に、懇意にしている家族と一緒に私たち夫婦も開店祝いに駆け付けたのであった。
「綾乃」は住宅街の中にあるし、目立つ看板も付けていない。自宅の1階を改造してあるが「小料理屋」だと言われなければ、外観は普通の住宅である。
店主と奥様に聞いたら「北の屋台では忙し過ぎたから、ここではノンビリと営業したい。予約専門の形態にするから、知る人ぞ知るという店で良いのだ」と言う。
それもまたそれで面白い趣向である。
台所を改造して対面の5人掛けのカウンターを設けてある。屋台時代のお客さんとの会話を重視した営業形態であるのが嬉しい。
予約に合わせるから食材も良いものを仕入れられるのがまた魅力のひとつになる。
奥には10人程度が入れる個室もあるから、ちょっとした宴会も可能である。
今回、北の屋台を卒業した人達の店は、どこも個性的な雰囲気である。
素人が屋台で営業の仕方を身に着け、開店資金を貯めて、顧客を獲得して独立する。空いた屋台にはまた新しい店主が入る。
これが北の屋台のまちづくりである。それだからこそ市民が応援してくれるのである。
私が辞めた後の北の屋台ではこのコンセプトがズタズタになっていた。その元凶が排除されたから、これからはまた健全さを取り戻していって欲しいものである。