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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2017-10-11-Wednesday 陽子線治療

陽子線治療( Proton Beam Therapy )について

私への治療30回照射の内の3分の2、21回の治療を終了しての検証をしてみる。

治療開始の第一回目は9月5日(火)であった。

私の治療曜日は平日の月・火・木・金曜日の週4回で、水曜日は休みが基本なのであるが、月曜日が祝日(9月18日の敬老の日、10月9日の体育の日)の週は、火〜金の4日連続の治療になる。土曜、日曜、祝日は病院が休みであるから当然ながら治療もない。

治療開始時刻はほとんどが10:30からの予定が組まれているが、時々、他の患者の都合や新患者の最初の治療は時間が掛かることなどによって多少の変更があった。

陽子線治療センターには30分前に受付を済ませて待機していなければならない。治療時間が患者によって多少の前後が生じるからだ。

私は「前立腺癌」の治療であるが、患者に依って癌の種類も違うし、当然ながら照射する箇所も異なる。

陽子線の治療所は全国に17ヵ所あるが、北大病院の陽子線治療の方法は、その他の16ヵ所とは異なる独自の方法で行っている。私の場合は、事前(8月9日)に患部の前立腺内に1.5㎜の純金の小球を3個埋める手術を行っていて、その3個の金マーカーを使って毎回照射直前に三角測量法みたいな測定をして、毎日変化する前立腺の位置を正確に確認しながら陽子線照射をするのである。

前立腺は膀胱と直腸に隣接する臓器であるから、尿や便やおならの量によって上下前後に位置がズレるので、なるべくその位置を一定にする為に治療開始1時間前までに排便、排尿を済ませておき、1時間以内には排便、排尿はしないようにと言われている。実際に、膀胱に溜まった尿の量が多かったり、直腸のおならの量が多かったりして、前立腺の位置が微妙にズレて、その位置の確認作業に手間取り照射開始が遅れたことがあった。

北大病院陽子線治療センターは出来たばかりの真新しい建物で、体育館並みの大きさがあり、その大きな建物内の装置で水素イオンを高速の70%までのスピードに加速させてから患部に照射する装置である。そうして作り出した強力な放射線である陽子線を癌細胞に照準を合わせてピンポイントで照射をし、他の健康な臓器への影響を極力抑える治療方法なので副作用が少ないのである。

私が北大病院での治療を選択した理由の第一が、この金マーカーを使用した照射方法の正確性に納得出来たからだ。

金マーカーを埋める手術をしてから、金マーカーが前立腺内で安定をした1週間後に、MRIとCTを掛けて、私の身体の形と臓器などの位置、前立腺内の金マーカーの位置などを確認し、それをコンピュータに入れて私の数値データを算出する。

その他に私の身体の型取りをウレタンで作り、その型と私の身体に直接マジックペンで線を描いてある。

毎回、治療用ベッドの私専用の型の中に仰向けに寝て、身体に描かれたマジック線と型との線を合わせて、ベルトで上半身を固定して、大まかな位置決めをするのだが、その為の目印なのである。この作業が終了したら治療用ベッドが装置内に移動する。照射前に更に金マーカーの位置を測定して微調整を行う。この微調整時に尿、便、おならの量が微妙に関わってくるのである。

装置は直径3m位の円筒状のトンネルの中に8角形の機械が収まっている。この円筒の中央部に治療用ベッドが滑り込んで行き、周りの8角形の装置が時計回りに数度ずつ回転して照射していくのだ。

照射開始前の金マーカーによる位置決めが3〜4分で終わることもあれば10分ほども掛かることがあるが、位置決めに時間が掛かると云うことは、それだけ慎重に位置を確認しながら治療していると云うことでもあるので、逆に信頼が置けるのである。

照射は1日に4本、左の臀部、左の腰骨、右の腰骨、右の臀部の順番に4ヵ所である。お腹の正面からは照射しない。聞こえて来る音で判断すると、1本の照射は0.数秒ずつ20回ほどに分けて細かに照射する、これを1回に4本(箇所)行う。1本ごとに照射装置の角度が30〜60度ほど回転して位置を変えるが、1本ごと照射前に金マーカーの位置確認を行うのである。治療時間はこれらを合計して20〜30分間で終了する。

陽子線自体は、熱くもないし、痛くもないし、痒くも無い。

前立腺癌の治療法には、手術、放射線、内分泌、薬物(抗癌剤)など選択肢が多いが、治療であるからには、それぞれメリット、デメリットがある。メリットだけの治療方法と云うのはあり得ない。

陽子線治療のメリットは、副作用が少ないと云うこと、デメリットは保険が利かずに高額(最低300万円)であること、治療日数(30回、約2ヶ月間)が掛かることである。

目下のところ副作用はまったく出ていないから、陽子線治療を選んで正解であったと思っている。