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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2018-01-04-Thursday AIとマジック

最近「AI」と云う文字がやたらと目に付く。

「AI」とは「Artificial Intelligence」の略で、日本語では「人口知能」と訳される。

要は、コンピュータの発展したものだろうか?

私が研究している「マジック」の中には、「からくり人形」も含まれるのだが、西洋のからくり人形として、1770年に制作された「ターク(トルコ人)」と云うチェス人形がある。

これは、人間を相手にして、トルコ人の恰好をしたオートマタ(自動人形)の人形がチェスを打つという機械であるが、いわゆる人口知能の機械として一世を風靡した興行であった。

12世紀から盛んになったオートマタ作りであるが、その起源は、紀元前2世紀頃に活躍した数学者のヘロンが作った古代エジプトの神殿の自動ドアとも言われているほど古いものだ。

18世紀には、オートマタの傑作が多数作られているが、オートマタは自動人形であるから、ネジを巻くゼンマイを動力として動く人形であった。

その動きは、かなり複雑なことまで出来るようにはなっていたが、あくまでも、歯車のかみ合わせで、あらかじめ決められた動きしか出来ない。

機械が自ら考えて動くと云うことは不可能なのである。

それが、この「ターク」は人間を相手にして、臨機応変にチェスを打てるのであるから、コンピュータなどの無い当時としては驚天動地の出来事であった。

ついに機械である人形が、自ら考えるようになったのだ。興行が大流行りしたのは当然であろう。

しかし・・・、タネを明かしてしまえば、箱の中にチェスの得意な生身の人間が入っていて、対戦相手とチェスを打つのであるが・・・。

ただし、興行主は、機械だと証明してみせる為に、人形を乗せている箱の前面の扉を開けて客に箱の中身の機械を見せる。だが、その時に、客には中に入っている人間の姿が見えない様に上手く左右に移動しながら、箱の中身は機械だけだと客に証明してみせる単純なトリックを使っていたのである。

だから、この「ターク」は実は、人口知能でもなければ、オートマタですらなかったインチキな代物であったというわけだ。

実に単純なマジックであった訳だが、マジックは「シンプル イズ ベスト」である。

単純であればあるほど騙され易いのである。

当時の人々は機械が自ら考え、動くと云うことに驚嘆したのである。

いわば、ロボットやAIのはしりなのかもしれない(ただしインチキだけどね・・・)。

これは、マジックであったが、現代では、これが現実化してきた。

AIの力量を証明する為に、チェスとか囲碁とか将棋が使われるのは、この18世紀のオートマタ「ターク(トルコ人)」の影響なのかもしれない。

私の頭では、オートマタまでは理解できるが、AIとなるとまるで分らない。一体どんな世の中になっていくのであろうか?