今年度の開場を今日から始めた。
ただ開けていても、客が来るのか来ないのかが分からない状態で、ずっと待っているもの辛いから「完全予約制」にして、事前の予約のある時のみ開場するシステムにしている。
GWの始まりと云うこともあるが、早速、札幌からの家族連れの予約が入った。今年度第一号のお客さんである。
両親と中学生と思しき男の子の3人である。わざわざ札幌から、ここを見たくて帯広に来たと言う。嬉しいではないか。
この男の子は、私と同じに小学6年生からマジックを始めたと言うので親近感を持った。
You-Tubeを見て練習していると言う。
私がマジックを始めた頃は、まだビデオも一般家庭で所持している家などほとんど無かった時代である。マジックを教えてもらいたいと考えても、帯広にマジックを教えてくれる人は居なかったから、本を買って来て、自分で練習するしかなかった。
北海道の片田舎では、情報が著しく欠如しており、マニア向けの本があることも知らなかったから、一般書店で売っている子供向けの「手品入門書」みたいな子供騙しのマジックしか知ることが出来なかったのだ。
その点で、現代の若者の環境は恵まれている。自宅に居ても、世界一流の演技を、You-Tube等で無料で見ることが出来る。うらやましい限りだ。
だが・・・。知識ばかりが先行してしまい本質をつかんでいない感じがする。頭でっかちな印象である。
マジックは、何も難しい技を使わなければならないと言うことはないのだ。私は、客に見える現象が同じであれば、むしろ、簡単な技を使って演技をするべきだと考えている。何も失敗する可能性(タネ明かしにつながる)のある高難度な技を使う必要はないのである。
ただ、高難度な技が出来ると言うのは、マジシャンとしての矜持というか、誇りというか、そんなものであって、客に取っては関係がないのだ。
いわばマジシャンの自己満足でしかない。
だが、自分はこんな凄い技を使えるというのは、自信につながるし、マジシャンは自分に自信を持たなければ、演技が小さくなってしまう。
そういう意味では、超高難度な技を習得することは良いことだが、まだ100%ではない技を客に見せるのは間違っていると考える。
コケ脅しも時には必要だが、使い過ぎると嫌味にしかならないと思うのである。
師匠と云う人を持たない、自称プロマジシャンには、この手合いが多いような感じがする。
さて、これから、マジック・ミュージアムで後進の指導にあたりたいなぁと考えている。今年度はどんな客が訪れてくれるやら楽しみである。