先ごろ、国から「観光カリスマ百選」なるものに選ばれた。「屋台を核とした観光・地域づくりのカリスマ」だそうだ。そのせいか、全国各地からの講演依頼が急増している。
先月も栃木と福島に行って来た。宇都宮市には昨年四月、帯広の「北の屋台」をモデルとした屋台村が誕生しているが、驚いたことに、各屋台にクーラーが設置してある。北関東でさえ夏はクーラーが必需品だという。
南の地方は、せっかく解放的な夏なのに、屋台の店舗を囲って空間を閉鎖しなければクーラーが効かない。これでは屋台の魅力が半減してしまう。
「北の屋台」を始める前は、「屋台は南のモノだ。北国の帯広では冬の営業はできない」という誤った思い込みの声が、圧倒的に多かった。
しかし、これまで北の屋台はオープン以来三年十ヶ月間、ただの一度も天候を理由に休んだことはない。真冬にも「寒い」と文句を言うお客さんは一人もいなかった。人は「暑さ」よりも「寒さ」の方が対処しやすい。寒ければ着れば良い、囲えば良いのである。暑くても裸以上にはなれない。
屋台が有名な博多でさえ、雨が降ったら客の背中が濡れるからと休業するそうだ。
実は屋台の最適地は、梅雨が無く、蒸し暑くない北国・帯広だったのである。