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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2008-07-19-Saturday まちづくり(7)

2001年4月28日(土)十勝毎日新聞掲載『既存の屋台と北の屋台 〜長所だけを取り入れる 固定型厨房とドッキング〜』

屋台は世界共通の商形態で、特にアジアでは盛んであり、アジアの文化であるとすら言えよう。屋台のある街はどこもにぎわいがあり、人であふれ返っている。元来人間は屋外で食事することが好きなのではあるまいか。

台湾の台北市にはたくさんの屋台街があり、現地の家族連れが夕食を食べに来ていたり、観光客も大勢が見物に来てごった返している。目の前で調理する屋台はパフォーマンスとしても機能しており、見ているだけでも楽しくなるものだ。しかし、意外と知られていないことだが、台湾の屋台も実は違法であり、常に警察と追っ掛けっこを繰り返しているのだ。でも客にとってみれば違法か順法かは無関係で、おいしいものを安く提供してくれればそれで良いのだ。むしろ、無法であるが故の活力すら感じてしまう。法律や規制でがんじがらめにしてしまうのは如何なものだろうか。

日本人が屋台に抱くイメージはチャルメラを鳴らしながら町を流して歩く「夜鳴きそば」のラーメン屋台が多いようだ。しかし、現在では移動方式の屋台は許可されないか、たとえ許可されたとしても実際の営業には問題が多い。

福岡に代表される合法的な屋台も移動方式ではなく、あらかじめ決められた場所に「仮設店舗」を運んできて、その都度、組み立て、収納を繰り返す、いわば「半固定式仮設店舗型屋台」なのである。

公道を使用するから、歩行者の邪魔にならないように営業時間や占有面積に厳しいしばりがあり、営業していない時には片付けなくてはならない。そこから屋台のしんどさや問題点が生まれた。夜間しか営業できないから営業者の昼と夜の生活が逆転してしまい体力的にきつくなる。毎日の組み立てに1時間、収納に2時間、離れた保管場所への移動をしなくてはならない。既得権によって守られた商売で新規参入がないから活性化されない。上下水道とトイレが無いから非衛生的であり、その為メニューに制限があるなどだ。

北の屋台はこの問題点を解消し、長所だけを取り入れた。繁華街の一等地に通り抜けできる(道路と同じ形状)民有地を借り、上下水道、水洗トイレ等を完備した小さな厨房を据え置く。民有地は道路法・道路交通法には関係しないから警察からの道路使用許可は不要になった。道路ではないからいちいち移動する必要がないので、各種の設備を完備した厨房を置くことが出来るようになった。この厨房を造ることで保健所からは飲食店としての許可を得られるので、メニューに制限がなくなったし、営業者側の冬の防寒対策ができた。厨房部分にシンクやコンロや冷蔵庫などを置いておけるので、屋台部分の軽量簡素化ができ、毎日の組み立て、収納、移動が楽になったなどである。固定型厨房に屋台をドッキングさせるアイデアはまさにコロンブスの卵であった。