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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2008-07-20-Sunday まちづくり(8)

2001年5月5日(土)十勝毎日新聞掲載『食糧自給率低下と旬の喪失 〜地産地消と身土不二 「食」に対する見直しを〜』

屋台の営業は基本的に屋外である。したがって天候に大きく左右される。九州の福岡の屋台は梅雨や台風や真夏の35度を越える蒸し暑さの為に年間の営業日数は平均で240日程度しか取れない。公道上で営業する屋台は歩行者の邪魔にならないように大きさの規定が厳しく、幅は3.0メートル、奥行きは2.5メートルしかないので、客席は客の背中が暖簾にくっつくほど狭い。1週間に3度も市役所の職員がはみ出していないか検査に来るので、下部はもちろんのこと屋根部分もはみ出すことはできないから、雨が降ったら客の背中が濡れてしまうので雨が大敵となるのだ。

ささやかな庶民の楽しみを、活力の源を、「お上」が規制してしまうから街の元気が損なわれてしまう。官僚は問題が起きないようにとあらかじめ規制をたくさん作るが、もっと自由にやらせて、問題が起きた時の罰則規定等を強化して、自己責任でやらせることも必要ではなかろうか。

これには市民の側にも責任がある。問題が起きた時に何でもかんでも他人(行政など)のせいにすることを止めなくては、規制だらけの窮屈でつまらない世の中になってしまう。まちづくりにも良い意味での「いい加減さ」が必要だと感じる。

住民が日本の食糧生産基地として自負しているこの十勝であるが、実は脆弱な基盤しかないことを全くと言って良いほど自覚していない。日本の食糧自給率はカロリーベースで40%、穀物自給率だと29%(100%である米を入れても)でしかない。しょせん日本は食料を輸入しなければ生きていくことができない国なのである。農産品三品に対して一般セーフガード(緊急輸入制限措置)発動うんぬんという記事が出ていたが、こんなに少ない自給率なら今後はもっとこの種の問題が出て来るのは必至である。ただ単に価格の面だけで「食」をとらえていて良い訳はない、人は食べなくては生きて行けないのだから。

今後、日本では人口は減るが世界的には爆発的に増加する。つまり、食料は世界的に不足するのだ。今、国内の農業を減らしてはいけない。しかし、事は量を増やせば良いという単純なものではない。農業を工業化したことに対する地球のしっぺ返しが世界中で起きている。十勝の大規模農業とて例外ではありえない。手遅れにならない内にもっと「食」に対する見直しをしよう。

現代の生活には「旬」が無くなってしまった。スーパーの売り場にはいつも同じ種類の野菜や果物が並んでいる。世界中から輸入し産地を変えることで収穫時期にズレをつくり、いつでも食べられるようにしている。便利だし楽だが「季節感」というものが感じられなくなってしまった。そのうち俳句の季語も意味が無くなってしまうかもしれない。

地産地消や身土不二という言葉がある。その地域で取れたものはその地域で消費しよう、自分の生活圏域で取れたものが自分の身体に一番合っているという意味だ。