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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2008-07-30-Wednesday マジック特番

マジックの番組があった。

昨晩(29日)19:00〜21:00のフジテレビ系列の特番で「お笑い芸人マジック王座決定戦スペシャル」と銘打っている。テレビ欄を見てマジックの文字が目に留まると必ず録画しておくのだが、今回は題名を見ただけで録画の必要無しとすぐに判断した。でも一応は見ておくかと初めの4組までは見たが、とてもばかばかしくなって、ゴルフの練習場に出掛けてしまった。

見ていない人の為に、見た限りの4組の芸人のところまでを解説すると、お笑い芸人が持ちネタの「お笑い」をやりながら本格的なマジックを絡めて演じるという趣向である。マジックの指導にはそれぞれ別々のプロマジシャンたちがあたって、練習風景などもVTRで紹介していた。お笑い芸人たちはイリュージョン(大掛かりなマジック)を演じてみせ、芸能人(マジックには素人)の審査員が評価して得点を出し、勝ち負けを判定するのだが、その得点表示の時にマジックを指導したプロマジシャンたちが指導者としてお笑い芸人達の横につっ立っているのである。

なぜ、こんな番組が成立するのだろう?

疑問の①はなぜ、マジックの素人のお笑い芸人がマジックを演じて、プロマジシャン達がマジックの演技しないのだろうか?ということである。

恐らく無名なマジシャン達だけでは視聴率が取れないということなのだろう。

それにしても、今、とてもスケジュール的に忙しいであろう旬のお笑い芸人たちに、ほんの少しだけマジックを指導して、お笑い芸人達はほんの少し練習をしただけで本格的なイリュージョンマジックが簡単に演じられるなら、視聴者にイリュージョンマジックって一体何なんだ!と思われないだろうか?

今から27〜8年前に初代引田天功が持病の心臓病で脱出マジックが出来なくなった時に、日本テレビの都合で当時マジックは素人同然であった助手の朝風まり(現二代目引田天功)が急遽代役に抜擢され一週間程度の特訓(特訓の模様もドキュメンタリータッチで流した)でその代役を果たしたことがあった。結局、命を掛けた「大脱出マジック」というのは素人が簡単に出来るものだとテレビで証明してしまった訳である。それ以降脱出マジックはウソ臭くなってしまい視聴率的には急激にダメになってテレビからマジックの様に姿を消してしまった。

テレビ局もプロマジシャンたちもそれと同じ轍を踏もうというのだろうか?

疑問の②はなぜ、プロマジシャンたちは自分達の商売道具を、しかもイリュージョンという大ネタを、いとも容易く素人同然のお笑い芸人に貸し出すのだろう?

マジックは不思議さが生命である。そして、その不思議さを醸し出すには神秘性という演出も重要な要素であると思うのである。

お笑い芸人が悪いというつもりはないが、マギー審司らが演じている「お笑いマジック」と「イリュージョン」とではジャンルが大きく異なると思うのである。マジックのことを何も理解していないテレビ局のディレクターが視聴率のことだけを考えてこのような番組を作ろうと企画したのだとしたら、相談された側のマジシャンは「それは違う!」と言わなければならない立場の人間であろう。それが嬉々として、こんな番組に出るようではよっぽどお金に困っているとしか思えない。マジシャンとしての魂を売っている行為である。

情けなくなってしまった。

プロマジシャンたちよ!自分の演技で客を唸らせよ!そしてその演技で金を稼げ!