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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2008-10-25-Saturday 特徴のあるまちづくり

帯広市の市街化調整区域編入が問題になっている。

この問題に関しては、私自身が中心街に店舗を構えている身であるから、どうしても他人からは身びいきに見えてしまうという懸念もあって論評を避けてきたのであるが、帯広市の行く末に不安を感じざるを得ないので論評することにする。

今回の編入に対する意見として「郊外に暮らす人の生活利便に必要」とか「市街地に調整区域があるのは好ましくない」などが出たという。これはまさしく「正論」である。が、しかし、『「正論」の積み重ねが必ずしも正しい(好ましい)結論にはならない』ということを経済用語で「合成の誤謬(ごうせいのごびゅう)」(ミクロ的に見れば一つ一つが正しい事であっても、その正しいことの積み重ね(合成)がマクロ的には間違った(誤謬)結果を生み出す)というのだということをこのコラムでも何度か書いた。

端的に言うと、「市長は役人であってはいけない」ということが言いたいのである。市役所内には1500人からの役人がいる。彼らは選挙によって選ばれた人達ではないから公平の原則に則って行動をしなければならないだろう。だから、手続き上瑕疵(かし)のない書類で申請されたら受理せざるを得ないのだということは理解できる。

しかし、市長は選挙公約を掲げて立候補し、それを市民から認められて市長に当選した身である。役人ではなく政治家なのだ。

市長公約に「コンパクトシティ」というものがある。これは「これまでの人口増加を前提としたまちづくりから、人口減少を考慮したまちづくり」への転換の中で不用意に街を拡大しないで中心街にコンパクトに街をまとめていこうというものなのだ。街を拡げるために掛かる税金は結局市民の負担として跳ね返ってくるからだ。

今回の一連の事態をみても砂川市長がコンパクトシティの概念をまったく理解していないことは明白である。ただ流行の言葉だから選挙公約に入れたとしか思えない。もし理解しているなら「コンパクトシティの公約を実現する為に郊外には商業施設を拡大しない」「だからこの申請は受理しない」と言い切れば良いのである。それが政治家としての市長の仕事である。それを「申請は受理せざるを得ない」などと役人のような(あっ、砂川市長は北海道開発局の役人だったっけ)ことを言うから問題が発生するのである。

市長というのは自分が掲げた公約の実現を第一に考えなければならないのである。そのために市長には為政者としての大きな権限が与えられているのである。市役所の役人と同じ考え方しかできないのなら存在価値がまるでないではないか。

役人がまちづくりをやったら全国各地はどこも同じ様な特徴の無い街になってしまう。これからは場所に合った特徴のあるまちづくりをしていかなければ生き残ってはいけない時代なのだ。ただニコニコしていれば良いというものではない。

国から指定を受けた「環境モデル都市」としての考え方にも今回の編入は誤っている。

砂川市長には信念とポリシーを持ったまちづくりをしてもらいたいと思う。