マジックを始めて、かれこれ40年になる。小学6年のときに札幌にいる8歳上のいとこから「シカゴの四つ玉」という指の間に挟んだボールが増えたり減ったりするマジックをもらったのがキッカケである。
中学、高校は本を買って独学で覚えた。大学に入ってから、初代引田天功の弟弟子ジミー忍に弟子入りしてプロマジシャンを目指したが、父親の猛反対でその道はあきらめざるを得なかった・・・。
当時はビデオやDVDなど無いから、本で覚えるしかなかったので、神田の古本屋街を歩き回ってはマジック関係の書籍を買い集めた。ジミー忍師が1996年に53歳の若さで亡くなったが、「マジック資料館を作ってほしい」との遺言で師のコレクション1000冊が届けられた。
以来、いつかはマジック資料館を作ろうと思っていたが、「北の屋台」の活動などで忙しく実現できていなかった。北の屋台を卒業した2007年春に、まず会社にマジック図書館を開設し、現在の蔵書数はおよそ6000冊、映像関係も集めて日本有数の資料が集まっている。
しばらく練習をサボっていたが、今年から「かちまいアカデミー」でマジック教室を開いたり、畜大生にも教えたりし始めたのでこれを機会に練習を再開、今ではだいぶ勘が戻ってきた。
マジックの良さはいろいろあるが、一番気に入っているのは、マジックを創作するときの、いわゆる「マジック的思考法」というものだ。マジックの生命は「不思議さ」であるが、私たちマジシャンは魔法使いでもなければ超能力者でもないから、科学の原理や人間の心理を使って不思議さを演出しなければならない。だから、常に逆の観点から物事を見るのが癖になる。俗に言う「逆転の発想」というやつである。空中に何かを浮かせるというマジックを考案する場合、その浮かせる方法は上からつったり横や下から支えたりと方法や道具が何通りもある中から一番費用が掛からなくて、準備がしやすいものを選ぶのだ。
北の屋台を考案したときも、このマジック的思考法を使って、この方法ならどうだろう、あの方法ならどうだろうと試行錯誤して完成させたものだ。
マジックは簡単なものからテクニックを使った難しいものまでピンからキリまであるが、コミュニケーションの潤滑油としても効果抜群であるし、指先を使うから、脳を活性化させ老化を防ぐことにもつながる。これを機会にマジックを覚えたい方はぜひ入会を。