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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2010-08-12-Thursday 風向計(読売新聞)

読売新聞北海道版「風向計」2010年8月12日掲載

「人口減」目を背けるな

帯広市の人口は2000年の17万5105人をピークに減り始め、08年には遂に17万人を割り込み、今年6月末には16万7387人になった。

2000年度からの「第五期帯広市総合計画」では09年の帯広市の人口を18万8000人と想定した。計画策定の会議に出席していた私は「統計上から見ても、今後帯広市の人口は減ることはあっても、増える要素はない。想定人口と実際の人口とにこれだけ乖離が出てきたら、これから立案実行する計画との間にギャップがあり過ぎて、政策自体が無意味なものになりかねない危険性がある。素直に人口が減ることを想定してはどうか」と提案した。だが、「人口が減るなんて縁起でもないことを言ってはいけない」「もしかしたら増えるかもしれないではないか」という意見が出て却下されてしまった経験がある。

今年度からの「第六期帯広市総合計画」では19年の想定人口を「概ね17万人」と第五期よりは減らしたものの、増やそうとしていることに変わりはない。

帯広市議会では「人口維持はまちづくりの根幹」として、「人口減、少子高齢化は不可避ではなく政策的・政治的課題」「増加を目指す姿勢で目標設定を」「市の本気度が足りない」などの意見が与野党双方から出ているとのこと。

会議がまるで、「言霊」に支配されているかのようだ。人口減は不吉なことなので口にするのもはばかられる、とでも言いたげな印象すら受けるのだ。日本全体の人口が右肩上がりに増えていた時代の拡大政策と、減っていく時代の縮小政策では、ベクトルの方向性は逆のはずなのに・・・。

設備は造ったらお終いではなく、維持していく保守費がかかる。減っていく人口では膨大な費用を払っていけない。いつまでも、列島改造論時代の「地域の均衡ある発展」政策を実行できる訳がない。

北海道では札幌近郊への一極集中が指摘されているが、将来的には札幌も人口が減ると推測されている。地方の村落はすでに高齢化社会になっているが、団塊の世代が大勢流入している札幌近郊でも、ここ数年で急激に高齢化社会になることが予想される。

病院・学校・商店などはある程度の人口数がなければ成立しないから、これまでの仕組みの延長線上で考えていては運営するのに無理がある。一刻も早く頭を切り替えなければ、取り返しのつかないことになってしまうのではないか。人口減少社会を前提としたコンパクトシティ化を進めた方が、活性化を維持し、観光や視察に訪れる交流人口を増やすことにも繋がるだろうと思うのだが・・・。