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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2011-05-23-Monday なすり合い

政府、東電、原子力安全委員会などの

責任のなすり合いが始まった様だ。

21日に政府が発表した「3月12日の福島第一原発1号機への海水注入を中断した」際に、菅首相が班目春樹委員長からの「再臨界の危険性がある」との進言に従って中断したという内容に、当の班目委員長が猛反発して「再臨界の可能性はゼロではない」と言ったのだと政府に訂正させた件である。

新聞やニュースなどによると、3月12日の18時頃に菅首相は海水注入の検討を指示したという。これに対し班目委員長が再臨界の危険性があると進言した為、首相は再臨界防止の対策を含めて検討するよう改めて指示したのだそうだ。首相官邸での検討会議は19:30頃まで続いたが、東電はその前の19:04にホースやポンプが正しく作動するかどうかの試験注入を開始、順調ならそのまま継続させる予定であったが、官邸に居た東電担当者が、協議が続行中であることを伝えた為に19:25に注入を停止、この注入開始、停止はいずれも官邸には報告されていなかったということだ。

東電は口頭で保安院に連絡したというが保安院にはその記録がないという。

19:40保安院などが再臨界防止にホウ酸を加えた海水注入案を説明し、19:55に首相が海水注入を指示、海水注入が再開されたのが20:20だったという。結局この間(19:25-20:20)の55分間は海水注入が中断していたということが問題になっている。

私は原子力に関しては素人だから判らないが、この55分間の中断がその後の経緯にどのような悪影響を与えたのかということだろう。

①事故発生当時「私は原子力には強い」と言っていた菅首相。

②原子力の専門家としての班目委員長の進言内容が、他の専門家らは海水注入で再臨界は起こり得ないという発言に対して、政府発表に喰って掛かったが、基本的な内容はそう変わりがない。

③海水注入、停止の連絡をしたという東電。

④聞いていないという保安院。

私にはこの4者の責任のなすり合いにしか見えないのだが・・・。

私は、そもそもの問題は日本人が「言霊(ことだま)」に支配されている精神状態にあると思っている。

あらかじめ最悪の状態を想定しておいて、その最悪の状況に対処する方法を考えておけば良いのだと普通なら考えるだろうものを、最悪の状況を口にして会議をすると、その口にした状況が言霊となって現実になってしまうと考えるのが日本人の2000年間以上も続いてきたメンタリティなのだ。原子力という最先端の科学を研究している人間ですら、いまだにそうなのだから、一般人は尚のこと言霊に支配されているのだろう。

しかももっと悪い事に、口にしないばかりか、考えることもしない思考停止状態になる。それが今回の震災で頻繁に学者などが口にする「想定外」という言葉だ。想定外と言ってしまえば、それ以上のことは考えなくても良いことにしてしまうのだ。

阪神淡路大震災などの大きな地震が実際に身近に起きているのに、一旦、想定を決めてしまったら、今度はメンツという厄介なものが登場してきて、その想定を改めようとはしない。

今回の様な大きな災害が起きて初めて、間違いでしたと認める。こんなことは大ウソだ。学者は皆、知っていたし、判っていたはずだ。

起こるはずが無いと想定したのだから、それ以上の事態に備えるということは、その想定が甘いということになってしまうというメンツが邪魔をしたのだ。

自分たちのクダラナイ、メンツを優先し、人命を軽んじた学者たちや、東電関係者たち、そして政治家たちは大いに反省してもらいたい。

それが、このようなことで責任のなすり合いをしているのだから、レベルが知れようというものだ。

この国は救われない。