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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2012-06-14-Thursday 北の屋台と

13日の十勝毎日新聞に

「まちづくり会社」である「街づくりおびひろ(2001年設立)」の総会の様子が掲載されていた。

その記事には、平成23年度の決算は「北の屋台」で始めた「開業支援事業」のお陰で118万円の黒字になったと云うことが載っていた。

北の屋台を作った本人としては、北の屋台がまちづくりに貢献出来ていることはまことに嬉しい話である。

「開業支援事業」をかいつまんで説明すると、北の屋台に出店したい人間を「街づくりおびひろ」が1年間社員として給料を払って雇い、屋台で営業をさせながら、実戦経験を積ませることで、その社員の独立を支援すると云う事業である。

元々は「起業塾」と云う、北の屋台の第二期で始めた事業の焼き直しではあるが、私が卒業した直後に店主募集をした第3期では実施されることはなく、去年募集した第4期で復活した事業だ(1期は3年間)。

「起業塾」では北の屋台の組合が直接に社員を雇って店主を直接支援、指導、管理をしていたのだが、その指導管理の手間などを街づくりおびひろにやってもらうことで、北の屋台の組合の実入りは少なくなる(家賃のみ)がリスク等は回避できると云う組合にとってはまことに良い仕組みに変更になっている。

十勝毎日新聞の記事によると、この「開業支援事業」をやっている屋台の「すだっち」の去年の1年間の売上額が1155万円になり、この売り上げが「街づくりおびひろ」の利益を生み出したとのことである。

この売上額と、「起業塾」との差が気になったので、少々調べてみることにした。

北の屋台のHPを開いてみたら、北の屋台全体(20軒)の売上額は数字では明示されておらずグラフによるものだけである。以前は数字を開示していたのだが、不開示の理由は個人情報だからと云うことだが、全体の売り上げ額がなぜ個人情報なのかはイマイチ理解ができない。

北の屋台は国・市・商工会議所などから補助金を受けて始めた事業なのだから一般企業とは異なる。情報は全て開示するが当然だと思うのだが、この辺はイタダケナイ。

グラフから大体の数字を拾ってみると全体の売上額は2億7千万円前後と推定される。以前と比較すると随分と数字が落ちている。以前と比べてあまりにも落ちているから公表していないのかもしれない。

それはさておき、全体売上額を2億7千万円とすると20軒で割ったら1軒あたりの平均売上額は1350万円になる。たった3坪の店でこれだけの売り上げがあるのは現在の経済状況を考えたら立派なものだ。

この数字はあくまでも推計の平均値であるが、平均ということは、当然ながらこれ以上の金額を売上げている屋台もあれば、これ以下の屋台もあると云うことだから、中には平均値の倍以上の金額を売上げる屋台だってあるだろう。

4期連続で12年も北の屋台に店を出している人は、もうベテラン中のベテランだろうから屋台での営業方法も熟知しているに違いない(本来なら1期で卒業と云うルールだったはずなのに・・・卒業したがらない理由はここにあるかもしれない)。新人でしかも雇われ店主の「すだっち」が1155万円という売上額を上げて「街づくりおびひろ」を黒字にしたと云うのだからこれは素晴らしいことだ。だが、当初、支援事業は1年間という前提であったから、次年度「すだっち」はどうなるのだろうか?それが少々心配である。

「起業塾」は組合直営事業だから、独立させる、させないはある程度、組合の自由に出来るのだが、「開業支援事業」は「街づくりおびひろ」が北の屋台から屋台を借りて行っている事業だから、北の屋台内でそのまま「すだっち」を独立させてしまえば、空きの屋台が無い限り、せっかく黒字化出来た「街づくりおびひろ」の「開業支援事業」を継続して実施する場所が無くなると云うことになる。

しかし、私は、まちづくり会社がたった1軒の屋台を営業するよりも、北の屋台全体を運営するべきだと考えている。

そうすればまちづくりに必要な経費の全てを北の屋台から生み出すことが可能になるのだ。こんな収益機能を持ったまちづくり会社と云うのはまだ日本には存在していないから、北の屋台をそういうまちづくり会社に変容させたいと考えていたのだが、叶わずに北の屋台を去った。

しかし、今、正に、まちづくり会社が北の屋台を運営すれば、日本のまちづくりの見本となることだって出来るのである。

北の屋台の組合はそろそろ、自分たちへの利益だけではなく、利益をまちに還元することを考えても良い時期に来ているのかもしれないと感じている。

この前日の勝毎に東日本大震災で被災した釜石市に北の屋台の関係者ら5人が出向いて義援金を渡している記事が写真付きで掲載されていた。知人から「この人達の旅費ってどこから出てるの?」と聞かれたが「私が知る訳はないが、まさか、義援金から出すようなことはしていないと思うよ。当然自腹だろう」と答えておいた。これだけの大勢で出向くにはそれなりの理由が必ずあるはずだからだ。きっと被災地で有意義な活動に貢献しているのだろうと思う。