(これは大道芸フェスティバル前日の8月13日に勝毎に掲載された私の文章です)
「大道芸の見(味)方」9組の超一流芸人が登場
さぁさぁ、寄ってらっしゃい!見てらっしゃい!毎度おなじみの大道芸がやって来る!
帯広の大道芸は今年11年目(北の大地で大道芸フェスティバルとしては9年目)を迎える。大道芸目当てに平原まつりに来る人も増えているというから、しっかり定着したようだ。
2002年にたった1組(ファニーボーンズ)からスタートした催しだが、規模は小さいけれども超一流のパフォーマーが訪れる質の高いフェスティバルである。
それもそのはずで、帯広の大道芸は核になる芸人が、リスペクトしている芸人に声を掛け合って出演者を決めるという一風変わったシステムで運営しているからだ。
つまり、一流の芸人が、一流と認めた芸人だけに声を掛けて招聘しているから、自然と芸の質が高くなる仕掛けなのである。
今年も9組の超一流芸人が揃ってくれたから楽しませてくれること必至。しかも、そのうち、帯広初登場が5組もいるから新鮮さもタップリ。
大道芸は芸人と観客が一体となって作りだす路上のエンターテインメント。観客も見るだけではなく、一緒になって場を盛り上げるノリが大切だ。芸人も人の子だから、乗ったら普段やらないパフォーマンスまで披露してくれる。芸人から「お手伝いを!」と頼まれたり、芸の途中で「イジラレタリ」した時は恥ずかしがらずに気持ち良く対応しよう。演技に参加すると別な楽しみ方ができる。また、芸人と親しくなるチャンスもあるボランティアも募集しているので、これも別な参加の方法だ。
大道芸には劇場(ハコ)が無い。いわば路上の空間すべてが劇場だから入場料は掛らないが「投げ銭(なげせん)」という風習がある。「投げ銭」は演技が終わってから、観客がお金を払うことを言うが、出すも、出さないも、金額の多寡も観客の自由というシステムである。スゴイ芸だと感心したら財布丸ごと出すのもアリだし、つまらないと思ったら払わずに立ち去るのもアリ。評価を換算するのは観客の仕事なのだが、なるべく多く入れてやって欲しい。
演技終了後に芸人が帽子を持って立っている。その際、字面通りにお金を投げるのはとても失礼な行為だからキチンと帽子に入れてほしい。サインや握手を求めると芸人はさらに喜ぶだろう。
原則、大道芸人にはギャラが存在しないので「投げ銭」が収入の全て。だから、この投げ銭集めも立派な芸の一つになる。投げ銭集めが下手だと、いくら芸が素晴らしくても生活が苦しい。大道芸人というのは音響係から集金係まで何でもかんでも兼務しているパフォーマーなのである。
帯広では路上でのパフォーマンスは、「平原まつり」のとき以外には基本的に禁止されているから、ぜひ、この少ない機会に大道芸を楽しんでもらいたい。
最終日には出演者全員が登場するファイナルステージも用意しているので、そちらもぜひお楽しみに。平原まつりの14〜16日の3日間は雨が降らないことを祈ろう。