妻が頼まれた。
今年90歳になる義父は、かなり痩せてきて服が合わなくなってきている。自分で買いに行くのは今の季節寒いし煩わしいから、手元にあるスーツを見本に持って行ってそれよりも少し小さ目のスーツを買って来て欲しい、店も「はるやま」や「青山」で良いというのだ。
私は自分の洋服はいつも藤丸百貨店で買っているから「青山」ではまだ買ったことがないが、たしか娘と息子の就活用のスーツを買った際にAOYAMAカードというのを作ったのを思い出したのでそれを探し出して持って行った。
義父はオーダーでしかスーツを作らないから、見本といってもブランコ物のようにサイズが書いていない。
自分で店舗に行って自分の体型に合わせて買えば何のことはないのだが、見本用にオーダー製のスーツを1着持って行って、しかもそれよりも少し小さ目のスーツを買うとなると、これはなかなかに難しい買い物であった。
妻も携帯電話で義父に色や柄などの説明をしたりしていたが、店の人もサイズ選びにはかなり苦労していたようだ。かなり時間は掛かったが何とか買う事が出来た。
支払いの段になって「今、スーツを1着お買い上げ頂くと2着目からは1000円でお求めになれますが如何でしょうか?」と勧める。「ヘッ、1000円???・・・」耳を疑ったがどうやら間違いではないようだ。
5万円以下の値段のスーツを買って「お義父さんに、こんなに安いスーツで良いのか?」と言っていたくらいなのに、2着目を買ったら1000円だって?
私は最近、スーツは着なくなっているから「いらない」と言ったら「ブレザーでも良いのですよ」と言う。
それならとブレザーのコーナーに行ったらスーツと同じ位の値段のブレザーがどれでも1000円だと云うから更に驚いた。
こんな価格で売って商売が成り立つのだろうか?おそらく在庫処分なのだろう。
支払いの段になって、カードを提示したらカードだと更に5%引きだと云う。
ホッホ〜ッ、何だか安いくて悪いなぁ〜と思いながら、カードを渡してサインしようとしたら「坂本様は1月生まれですね。誕生月のお買い上げは10%引きになります」と言う。しかも「カードのポイントが7000円分くらい貯まっていますがお使いになりますか?」と言うではないか。以前に娘と息子の就活用のスーツを買った際のポイントが残っていたようだ。
何だか、訳が分からない内に、ドンドンと安くなっていくような感じである。結局、義父のスーツとベルト、私のブレザーを買って、すそ上げやウエストの幅詰め、ネーム入れなど全部入れても4万円で済んでしまった。
世の中はデフレというが、10年前にデパートの紳士服売り場でならちょっとしたスラックスを買っても3〜4万円はしたのに・・・・。
何だかすごい世の中になっているもんだなぁ〜。