テレビ番組「探偵ナイトスコープ」の撮影が26日(土)に帯広市内の住宅街で行われた。
探偵役はデブの芸人でビートたけしや野村克也のモノマネをする松村邦洋である。
13時に依頼者宅近くのパチンコ屋の駐車場で待ち合わせをすることになっていた。
その依頼内容と云うのは、とある母親からのもので、「3歳になる人懐っこい性格の息子が自分の父親(3歳の子供からみると祖父)には懐くのだが、姿形がそっくりなのに何故か父親の双子の叔父にはまったく懐かなくて困っている」というものである。
テレビ局のADからの電話では、その解決策に人体交換マジックを使いたいのだと云うのである。
そういう類のマジック道具を持っているか?という問い合わせであったから、25年前に作った大きな布(2m×5m)の人体交換マジックなら持っていると伝えた。
翌日の22日には電話での説明では不十分なので、ダグ・ヘニングというアメリカのマジシャンがその布を使用した人体交換マジックを演じたビデオを探し出し、更に私がその演出方法を考案してメールで送ったのであった。
ところがディレクターの反応はイマイチなのである。
結局、私が持っている布のマジックは不可となり、大阪のマジシャンから道具を借りて帯広まで持って行くことになったと云う。
私にはディレクターの意図がさっぱり理解できなかったので、希望に添えないから、誰か別の人でも探してもらおうかとさえ考えていたのであった。
25日(土)に帯広入りしたディレクターから聞かされた撮影意図は「マジックで問題解決をするという趣旨ではなく、マジックでもダメだったという意図なのだ。だからマジックは完璧なものである必要はない。」と云うのである。これを聞かされて初めて納得したのであった。
私は、地元のマジック愛好家の方に手伝ってもらって祖父Aと祖父Bをマジックで入れ替えて、3歳の孫には入れ替ったと感じさせずに祖父Bに懐かせてメデタシメデタシとマジックで問題可決して欲しいのだと理解したのであった。どうりで、私の考案したストーリーではダメなはずである。
ディレクターからは「坂本さんの道具は使わないが、坂本さんにご紹介いただいた地元のマジシャンお二人も坂本さんに同席して欲しいと言っているし、大阪のマジシャンから借りてくる道具も使い方が良く分からないから当日現場で指導して欲しい」と云う。
それで、26日の撮影に付き合うことになったという次第である。
行ってみたら、なんと依頼人の父親という人は旧知の帯広市役所職員のSさんであった。そう云えば銭湯でSさんだと思って挨拶したら「あ〜それは双子の方割れの方です」と云われたことがあったのを思い出した。それほどソックリな双子である。
当日、現場で見たら、大阪のマジシャンから借りてきた道具は、剣差しのマジックであった。通常、道具の中に入るのは華奢な女性アシスタントであるし、しかも、プロの使う道具であるから大きさは限界に近い小さな道具になっているのである。この道具の中に素人の、しかも60歳代の身体の固い男性が入るのは至難の業である。スンナリと入れたら、それだけでも十分不思議な現象になるほどだ。剣は斜めに4本、真上から1本を差すのだが、とてもとても・・・・。
しかもリハーサルは1回だけ、それでも何とか指導してブッツケ本番をやったが・・・。
私は笑い声を抑えるのに苦労したほどだった。恐らくディレクターの意図と合致したのではないだろうか?
大阪方面では1ヶ月後に放映するが、帯広での放映は9月頃かもしれないとのこと。乞うご期待!