«前の日記(■2013-12-23-Monday) 最新 次の日記(■2013-12-25-Wednesday)»
 | トップ |  | ビル概要 |  | テナント構成 |  | 沿革 |  | アクセス |

観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2013-12-24-Tuesday 松旭斎天一の掛け軸

ヤフーオークションで

18日の20時に、またまたお宝を発見した。

11月に漢字4字の書を落札したばかりの、明治の奇術師で日本近代マジックの父といわれる松旭斎天一の掛け軸を見つけたのだ。

「奇術師一代 松旭斎天一の生涯(品川書店)青園謙三郎著 昭和51年刊」という本に天一自作の漢詩の書の写真が載っているが、その漢詩とまったく同じ文章である。

「誰将螳(虫良)試逆車 当軍之事勝嘆嗟 山河百戦只枯骨 功罪千秋空白沙」と云う漢詩である。(虫偏に良と云う字は「螳螂(とうろう:かまきり)」の意であろうが邑部が抜けている)

写真で二つの同じ漢詩を並べて見ると、字がやや違う気がするが、落款印は同じに見える。

署名の行には「庚子秋季松○妙(砂?)福良鳴海舘○旭天一」と読める。

18日の20時の段階で付いている値段は1000円である。この程度の値段ならニセモノでも構わないなと考えていた。

ところが、「天一一代 明治のスーパーマジシャン(NTT出版)藤山新太郎著」と云う本で調べると、「庚子(かのえね)」は1900年明治33年であるが、この年の9月に天一は淡路島の福良町の鳴海館というところで興行していることが分かったのだ。

そこで、今度は「明治の演芸(七)明治三十三年〜明治三十七年(演芸資料選書・1)国立劇場芸能調査室:倉田喜弘編」という資料を調べてみるとその318頁に、明治三十三年九月十九日付の「神戸又新日報」に「淡路の興行便り 洲本町にて喝采を博したる松旭斎天一は、其後、和歌山、徳島各地を打廻り居たるが、二三日後より三原郡福良町・鳴海館にて開場せり。」と掲載されている。

天一は舞台上で漢詩を読んで、その場で揮毫して客に渡していたというからその時のものではないかと推察される。

出品者は「ストア」だから会社なのであるが、この会社はマジックには詳しくないのだろう、ヤフオクの表示で「奇術師」とか「手品師」と云う文字を使用していないのだ。もしも、このどちらかの文字を使用していたらマジック愛好家は皆が入札に参加してくるであろうが、「松旭斎天一の掛け軸」だけではマジック愛好家にはヒットしないのである。

私も、たまたま先月の「松旭斎天一」の書を落札したことから偶然にヒットしたのであった。

締切り日時は24日22時02分である。

21時に会合から帰宅してPCを開いて見たら、まだ2310円という値段。それからズ〜ッと画面とにらめっこをしていたが上がる気配がない。シメシメ、この値段で天一の掛け軸が手に入るなら、これはすごいクリスマスプレゼントだぞと思った矢先の締切り間近の21:57になって急に値段が動き始めた。

誰も参加して来ないから、やっぱりニセモノかなぁ〜という考えもよぎったりもしたが、いやいやマジック愛好家は誰も気が付いていないのだとも考えていたのだが・・・。

この時点で入札に参加してきたのは、先月に同じ天一の書で競い合った奇術研究家で大学教授のKさんである。

Kさんが参加してきたということは本物であろう。

またまた私とKさんの二人の競い合いになってしまった。今回も私が落札できたが、届いたらまた解読をする楽しみが増えた。

ヤフオクには宝が埋まっている。