西3条南9丁目にあった旧イトーヨーカドービルがようやく落札されたというニュースが新聞に大きく載った。
1998年にイトーヨーカドーが帯広市の南部の旧日甜の跡地に移動した後は16年間に亘って空きビル状態になっていた建物だ。
藤丸百貨店が8丁目に移動した1980年からは、藤丸とヨーカドーを結ぶ道路には人が溢れていた時代もあったのだが・・・。
十勝は自動車中心の生活様式であるが為に、郊外へのいわゆるスプロール化現象が激しく起きた地域でもある。免許取得者のほとんどが自家用車を持っている十勝のような地方都市では、駐車するのにお金が掛かる場所は敬遠され、大型無料駐車場のある郊外型ショッピングセンターに取って替られたのである。
ヨーカドー移転以来、中心街の集客力は落ち続け、空きビルになったこのビルも一時は買い手が付いて改修するところまでいったのだが、結局はこの企業もこのビルを再オープンさせることはできなかったのであった。
その後何か競売に掛けられるも、不調に終わり、今回も買い手が付かないのではないかと云う予測もなされたほどであった。
競売の蓋を開けてみると、2社が応札し、売却基準価額が7003万円だったところを東京のエーエスと云う不動産賃貸業の会社が倍近い金額である1億3500万円で落札した。残りのもう1社の応札価額は7600万円であったそうな。
入札というものは、オークションのように徐々に価額がせり上がっていくものではなく、1回の入札価額で決まる仕組みになっているから、複数の会社が入札する際には、相手側よりもたとえたった1円だけでも高く入札した方の会社が落札できる仕組みである。
大抵は売却基準価額の1割程度の上積み額で落札できるであろう。だが、どうしてもその物件を手に入れたければ、相手が絶対に入札してこない金額の入札をする必要がある。
つまり事前に情報を入手して検討し、相手側の入札金額を予想して、安全策として更にそれよりも1割程度は上積みした金額を入れるのだ。
もしも、私が落札したければ、基準価額の7003万円の1割増し、つまり7700万円程度の攻防になるであろうと予測する。しかし、どうしてもこの物件が欲しければ+700万円の8400万円という札を入れたであろう。
大雑把に考えてもそんな程度である。
だが、今回は・・・。
落札したエーエス社は入札したもう一社よりも5900万円も上積みしているのだ。
事前の情報や検討が的外れだったのだろうか?
高く買ったところで何の得にもならない、ただ売り手側を喜ばせるだけである。
もしも、私がエーエス社の社長だったら、この入札担当責任者に「でかしたぞ!良く手に入れたな」とは言わないだろうなぁ〜。むしろこの責任者をクビにするかもしれないなぁ〜。しかも相手はたったの1社である。複数の見知らぬ会社が応札している訳ではないのだから・・・。
それほど5900万円の差は大き過ぎると感じるのである。
ビルを壊すにも2〜3億のお金が掛かるであろうと予想されるからだ。
しかし、昨日の新聞には、エーエス社はこの建物を壊さずに、そのまま使用し、地下には食品スーパーを入れたいというコメントを寄せていた。
果たしてどのような活用プランが出てくるのだろうか?
でも、事前の入手段階でこんなに無駄な金を使う企業に本当に有効な情報や協力者が集まってくるのだろうか?