4人で最初で最後のマジックショーをすることになったが・・・。
私以外の3人は、オリジナルのマジックを創作し、しかも、ほとんど毎日の様に各所で披露している人達である。
私はと云うと、月に2回のマジック教室で教えるか、タマ〜に飲みに行った時にホステスさん相手に披露するくらいでしかない。
マジックは常に他人に見せていないと勘が鈍るというか、客あしらいが下手になるというか、とにかくツボが分からなくなってしまうものなのである。
学生時代は一日に8時間は練習していたが、現在ではほとんど練習することもなくなっている。完全に昔の名前で出ていますという状況なのだ。
しかし、出演する以上はチャンとした演技を披露したいという見栄もある。
さて、何を演じようかと考えていたが・・・。
学生時代に、師匠の故ジミー忍師宅に毎日の様に通って、当時はまだ珍しかったビデオを何度も何度も繰り返し見ながら習得した、トニー・スライディーニと云うマジシャンのオリジナル「ペーパー・ボール・イン・ザ・ボックス」と云うマジックを久し振りに演じてみたいと思った。
自宅で妻を相手にやってみたら・・・。
何とさすがに35年振りでは、細部を忘れてしまっている。
師のところから、このマジックの映像を収めたビデオは私の所に送られてきてはいるが、このビデオテープはソニーの古いビデオでU−マチックという代物で映す機械は持っていないのだ。
仕方ないので、所有しているスライディーニの写真付き解説書(英語版)を見ながら思い出そうとしたが、どうも写真だけでは演技の流れが掴めない。
こういう時はネットだと思い、「スライディーニ」「ペーパー・ボール」「マジック」などと入れて検索してみたが・・・。
スライディーニには「ペーパー・ボール・オーバー・ザ・ヘッド」と云う初代の引田天功もアレンジして演じていた、日本でも有名なマジックがあって、こちらは見ることが出来たが、「イン・ザ・ボックス」の方は出て来なかったのである。
途方に暮れていたら、フッと神戸のマジック映像の収集家Yさんのことを思い出し、メールをしてみたら、ユーチューブの存在を教えてくれたのであった。有り難いことだ!
早速見てみたら、師の自宅で何度も見た懐かしい映像と同じ映像であった。
懐かしくなりながら、何度も見て練習を繰り返した。昔、惚れ込んだマジックであるから、やっぱりこれは素晴らしいマジックだ。また十八番に加えよう。
昔の学生時代を思い出しながら、マジックの練習をするのは実に楽しい。
明日は35年振りに人前で演じることになる。さて、はたして上手く演じられるだろうか。