禍(わざわい)と幸福(しあわせ)は交互にやって来ると云う様な意味である。
先月末に義父が亡くなったが、葬儀の準備をしている時に、私の携帯電話に公益社団法人 日本奇術協会(プロマジシャンらが所属する団体)の事務局の方から連絡が入り「マジック・ミュージアム整備の功績により、平成27年度の功労賞の授与が決まりました」との報告が入ったのである。
義父の自宅で、まさに葬儀の打ち合わせをしている時であったので、嬉しい報告ではあるのだが、まさか喜んではしゃぐこともできはしない。
ただ、ありがとうございますと押し殺した声で感謝の意を表しただけに終わったのであった。
私は、小学6年生11歳の時からマジックを趣味とし、大学卒業時まではプロマジシャンになってマジック界で有名な存在になってやるぞ!と云う大きな野望を持っていたのだが・・・。
大学3年生時のマジッククラブの発表会での大失敗によって、自信喪失気味であったところに、父親の大反対で、この夢は実にあっさりと潰えてしまったのであった。
プロマジシャンになる夢が潰れた後は、マジックの練習もほとんどしなくなったし、まちづくり事業の方が面白くなってきて、重心はそちらに向かっていったのだった。
まちづくり関係では北の屋台創設の功績によって「観光カリスマ百選」にも選出され、全国各地を講演して歩くまでになり、一応は名前が通るようにもなったのだが・・・。
逆に、名声を獲得したら、一緒に活動していた仲間達との折り合いがまずくなっていって、まちづくり事業からは去る結果になってしまったのだった。
しかし、まちづくり事業で、暇が全く無かった身が、急に暇になったことで、マジックの師匠であった故ジミー忍師の「マジック博物館を造って欲しい」との遺言を果たす時間が生まれたのだから・・・。
2007年4月から、まずはマジック図書館を造り、2012年からはマジック博物館の準備に入ることが出来たのである。これは、まさに私の人生訓「人間万事塞翁が馬」そのままなのであった。
今回、「マジック・ミュージアム創設の功績」によって、日本奇術協会から功労賞を授与していただけるというのだから、こんな名誉なことはない。これで、当初の野望とはかなり形は異なるが、マジックの世界に於いても表彰されることができたので、一応は目的を達したことにしておこう。
表彰式とパーティは、故ジミー忍師が提唱した12月3日の「奇術の日」に東京新宿のホテルで開催されるという。
この日は、帯広で「マジック・ミュージアム」のプレ・オープン式を開催する予定なので、表彰式には出席は出来ないと言ったら、11月下旬に表彰状を送ってくれることになったのである。
先ほど、正式に受賞案内などの書類が届いた。
電話だけでは不安であったが、これで間違いはなかろう。
パーティに出席できないのは少々残念なことだが、帯広で仲間等に祝ってもらうのもまた嬉しいことである。これで、プレ・オープン式にも箔が付こうってもんである。
まずは、メデタイことだが、次に禍が来ないように祈ろう。