23集の累計で1200万部も売れた「頭の体操」シリーズと云うパズル集などの著者で千葉大名誉教授の多湖輝(たご あきら)さんが6日に間質性肺炎で死去していたことが15日に分かった。享年90歳であった。
多湖さんは、テレビのマジック番組にも度々出演していたほどのマジック好きで、趣味の範囲を越えていた。
元々は、心理学者で、催眠術の本なども書かれているし、ゴマ書房の心理学シリーズなど、素人にも分かり易い心理学の本や子育ての本なども多数執筆している。
1966(昭和41)年にひねりのきいたパズルやクイズを集めた「頭の体操」を出版し、200万部を超える大ベストセラーとなった。その後、同書はシリーズ化され、2001年の第23集まで累計で約1200万部が売れた。
もともと、マジック愛好家には、パズルやクイズなどが好きな人が多いが、多湖さんは、さすが心理学者らしい本の作り方で、大ヒット作を作り出したのであった。
問題と解答を別のページに載せると云う単純なことであるのだが、昔のパズル・クイズ本は問題の掲載されているページの隅っこに逆向きに答えを掲載しているものが多かった。
これだと、ついつい回答に目が行ってしまうのである。それが人間の心理である。
それを、回答をページをメクらないと見られない様に工夫したのである。これは画期的なクイズ本の作り方であった。
ジックリと回答を導き出したい人はページをメクらなければ良いのだから・・・。
また、イラストを使って視覚的効果も取り入れた。文章だけのものよりもとっつきやすい本になった。また、新書サイズと云うのも良かった。通勤通学のついでに電車の中で読むのに最適なサイズであったのだ。
設問の斬新さやヒネリもあったが、こういった数々の工夫によって「頭の体操」シリーズは日本国民に受け入れられたのである。
まさにコロンブスの卵であった。誰かが始めると、次に続く人には道が拡がるものである。最初に考えた人は素晴らしい!
私が、マジックを始める前にこの「頭の体操」は出版されていたが、もともとクイズやパズルが大好きであったから、小学生であった私もこのシリーズが大好きであった。
また、一人マジック好きな偉人が亡くなってしまった。
ご冥福をお祈りする。合掌