自宅に居る間は、ほとんど読書をして過ごした。
新聞の広告で「オレンジシルク(新潮社)」と云う題名の本が目に留まった。
著者は、二代目神田山陽の門下で、帯広市出身の女性講談師、小説も多数執筆している神田茜さんの新作小説である。
「女子力の低いOLが人気マジシャンに一目惚れ。オレンジ色のシルクスカーフを巧みに操る彼に近づきたくて、仕事をやめてマジックの世界へ。芸も恋も前途多難、心が折れそうになったとき、不思議な巡り合わせが・・・・・愉快な恋愛成長小説」とある。
同郷出身でマジックの小説!
これは、現在整備中で、7月16日にオープンさせる日本唯一の「マジック・ミュージアム」の図書部門の蔵書に加えなければならないと、早速本屋に向かったのであった。
読んでみると、私が大学生時代に住んでいた三軒茶屋、大道芸フェスティバルなど、懐かしい場所や関係ある設定が多い。
時代感が多少ズレてはいるが、明治から昭和初期に掛けて活躍した女性人気マジシャン松旭斎天勝をモデルにしたと思しき松洋斎天鈴なる人物も登場する。
私が修行していた時代の「徒弟制度」と、現代の「師匠を持たないプロマジシャン」の比較の記述も出てくるし、私の師匠のジミー忍師が、普段から言っていた様な芸に対するセリフを、登場人物のプロマジシャン、マギー光司が言うのも、また、遠征先で急に道具が無くなった時の対応等も、似た様な経験をしている私としては、とても面白くまた懐かしく読めたのであった。
感動したので、手元にあった芸人名簿で神田茜さんのメールアドレスを調べて感想メールを送ったら、帯広に帰省したら「マジック・ミュージアム」を見学したいとの返事をくれた。
これまた嬉しいことである。
ますますのご活躍を祈りたい。