先般、観光ボランティアの方たち数十名にマジック・ミュージアムを案内して、展示物などを知ってもらっていたが・・・。
そのボランティアの方から「日曜日に目の不自由な方をお連れする」との報告があった。
マジック・ミュージアムは体験型のミュージアムではないし、マジックは視覚の錯覚を利用したものがほとんどであるから、その様なお客様にご来場いただいても、果たしてご満足いただけるものだろうかと心配していたのであるが・・・。
午前中に帯広の男女2人のボランティアの方が、2名の女性を連れてご来場下さった。
1名は盲目の女性で年齢は70歳代であろうか、付き添いの女性は60歳代くらいの方で、東京と千葉からはるばるこのマジック・ミュージアムを訪れたいと思い、わざわざこの為だけにやって来たのだと言う。
千葉県でラジオ番組を聞いていて、このマジック・ミュージアムのことを知り、是非とも訪れてみたいと思ったそうである。
驚くことは、まず、関東方面でのラジオ?
取材を受けたことはないので、何らかの情報でマジック・ミュージアムのことを知ったパーソナリティの方が、番組で取りあげてくれたのだろうと思う。
その放送を聞いた全盲の方が、訪れたいと思ったと言うのだから、きっと好意的な、わくわくさせるような内容の番組であったのだろうなぁ〜。
嬉しい話である。
しかし、全盲の女性にどうやってご案内したら良いのだろうか?
とにかく、ショーケースの前に誘導し、何がどのように展示してあるのかを説明して歩いた。
最初に「魔女&魔法使いコーナー」のフィギュアを300体もゴチャゴチャと飾ってあるショーケースの前で『3段のガラスケースで一番上の段は「オズの魔法使い」のキャラクターが飾ってあります・・・、2段目は「奥さまは魔女」のサマンサ、「かわいい魔女ジニー」のフィギュアや「魔法使いサリー」や「ハリーポッター」などのキャラクター・・・、3段目は「ロードオブザリング」「はくしょん大魔王」「マーリン」などのキャラクター・・・』などと説明をし始めると、「あぁ、奥さまは魔女のサマンサは鼻をピクピクと動かす人ね・・・」とか「サリーちゃん、マハリクマハリタ・・・懐かしいわぁ〜」と言う。
全盲になったのは数年前で、それまでは弱視であっても見えていたから想像が付くと言う。どうやら頭の中で昔見たイメージを再構築しているようだ。
「トランプの壁」の場所では、鎖を外して、展示してある929個のトランプに実際に手で触れてもらって実感してもらった。
展示物の全てに関心を持ってくれて、どれも素晴らしいわぁ〜と感嘆してくれる。こんなに喜んでもらえるとは思ってもいなかったので、こちらの方が驚いてしまった。
「現在はセミ・オープンで、期間中に見に来てくれた方々のご意見を参考にして、10〜4月までお休みして展示をやり直す・・・」と言ったら、「今度は、1個しかない貴重品は別として、数個あるものなら、ケースの外に出して展示して私の様な者が触って楽しめる工夫もして欲しい・・・」と要望された。
まさに、そのことを検討している最中でもあったので「はい、ぜひそうしたいと思います」と答えたら、「それなら来年もまた来ます」と言って下さった。
目の見えない方が、楽しんでくれる、体験出来るマジック・ミュージアム。
ウーム、難しいテーマだが素晴らしい試みであろう。
今日は、新しい発見が多い日であった。