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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2019-04-11-Thursday 島田晴夫物語⑩

「世界一のマジシャン島田晴夫物語」⑩

「難航した「グリーンカード」」

マジック・キャッスルのメンバーであった弁護士のロニー・ヘッカーに相談したら、グリーンカードを取得するしか方法がない、島田夫妻は入国管理局の強制退去にリストアップされているんだという。

ロニーは、島田がアメリカにおける東洋のマジシャンというカテゴリーの中で唯一無二の存在であることを証明することにした。チャン・リン・スー、フーマンチュー、オキト等、過去に東洋人として活躍したマジシャンたちは、実は白人が東洋人に化けていたことなどを提示したのだ。

キャッスルのメンバーであった映画俳優のケーリー・グラントやダイ・バーノン等キャッスルメンバーのマジシャンたち、ジョニー・カースン(テレビ司会者)からも協力を仰いで、「島田こそは真の東洋人マジシャンとして貴重な存在、アメリカ人の仕事を奪うのではなく、特殊技能でアメリカ人には出来ない仕事だから問題はない」と提示。これによって、取りあえず強制退去は停止されたが、それでも、グリーンカードがなければアメリカでは仕事ができない。

1973年になって、グリーンカード問題に好転のきざしが出てきたが、なかなか発行はされない。業を煮やした島田はフランスのオリンピア劇場からのオファーを受けてパリでの仕事を始めたのであった。仕事を始めて2カ月後のこと、アメリカの弁護士ロニーから「移民局のインタビューがあるから戻って来い」という連絡が入った、「オリンピア劇場との契約があるから帰れない」と言うと「何を言ってる!このインタビューを受けなければグリーンカードの取得ができないどころか、投獄されるんだぞ!契約を破棄して帰って来い!」と言う。

慌てて、オリンピア劇場に事情を説明してアメリカに帰った。朝の8時にアメリカに戻り、リサとディアナを同行して移民局のインタビューを受けて、午後一番の飛行機に乗ってとんぼ返りし、オリンピア劇場との残りの契約を完遂したのであった。

アメリカに戻ると2回目の「トゥナイト・ショー」の出演が待っていた。1回目の演技が大好評であったのだから、2回目の演技は前回以上のパフォーマンスを披露しなくてはならない。ところが、パリから戻って来た時に、10羽の鳩が検疫に引っ掛かって持ち込むことができなくなってしまった。鳩には調教を施してある。ステッキに止まる鳩と、飛ばしたら戻って来るように調教した2羽の鳩は完ぺきなパフォーマンスをするには絶対に必要だったのである。

(マジック・ミュージアム館長、坂本和昭、写真は島田氏提供)

【写真のキャプション】グリーンカード取得の際のスポンサー、俳優のケーリー・グラントと(1981年)

2019年4月11日 十勝毎日新聞掲載