「今日は君の誕生日だろう。ちゃんと憶えているよ」と即答した。
私は家族の誕生日は、両親、兄弟姉妹、妻、子供はもちろんのこと、義父、義母まで全員分をしっかりと記憶してあるのだ。
この辺はしっかりしているのである。
昔、子供が幼少の頃の誕生日には、親戚一同が集まってお祝いをしたもんだったが、子供が大きくなったら、最近は誕生日だからといって何か特別のことをするわけでもなくなった。
プレゼントなんてモノもしばらく買ったこともない。
ただ「誕生日おめでとう!」と言うだけである。その言葉も、自分が60歳を過ぎた辺りから「おめでたい」とも思わなくなっていた。
しかし、去年の11月に孫が生まれた時から、また気分が変わってきた。今度は孫の誕生日を気にするようになったのである。
東北に嫁いだ長女から、妻のスマホにお祝いの映像付きの電話が入った。そこには孫の姿が映っている。ようやくハイハイを始めて、「良い顔は?」と言うとニコッと笑う。それがまぁ可愛いこと。
孫はまだ言葉が話せないが、何よりのお祝いである。
こちらは後、何年、孫の誕生日を祝えるのだろうか?
何だか、年寄りくさくなってきた自分の考え方に驚いた妻の誕生日であった。