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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2020-07-22-Wednesday 五島勉死去

作家の五島勉が亡くなった。

今朝の新聞に載っていたが、6月16日に誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)の為に90歳で亡くなったと云う。

五島勉と云えば「ノストラダムスの大予言(祥伝社)1973年11月発刊」である。

この本が日本人に与えた影響は大きかった。後に、この本の内容は、ほとんどがフィクションで、五島勉の創作であることが判明するのであるが、まことに罪作りなおっちゃんであった。

1973年、私は高校1年生。

「ノストラダムスの大予言」は250万部の大ベストセラー。

読書が大好きで、マジックが大好きで、不思議な事が大好きだった私が飛び付かないはずがない。しかし、本屋の店頭では売り切れ状態で、先に購入していた同級生から借りて読んだのであった。とにかく一刻も早く読みたくて仕方がなくて、入荷を待てなかったほどだった。後にも先にも、本(漫画を除く)を借りて読んだのはこの「ノストラダムスの大予言」だけである。

16歳の多感な少年に与えたショックは大きかった。

何せ、「1999年7月に世界は破滅する」と云う内容なのである。世界核戦争、公害など等、さもありなんと信じるには十分な当時の世界情勢であった。

世界の破滅まであと残り26年、私が42歳の厄年には人類は破滅するのである。

1973年当時の日本は、オカルトブームの真最中であった。

73年の12月24日のクリスマスイブに、日本テレビの「11PM」で、イスラエルの売れないマジシャンで、自称超能力者のユリ・ゲラーが念力でスプーンを曲げる映像が放映された。この映像を見て触発された当時11歳の関口淳少年が、翌74年1月の「13時ショー(NET、現テレビ朝日)」で実演して世間の話題をさらった。

ユリ・ゲラーが74年2月末に来日し、2月25日の「11PM」に生出演して、大橋巨泉の目の前でスプーン曲げを実演した。リアルタイムで見た私は、大いに興奮したものである。この放送の前日に収録していた「木曜スペシャル」が3月7日19:30から日本テレビで放送されると、日本中にスプーン曲げの大ブームが巻き起こったのである。

ちなみに、マジシャンである私は、超能力ではスプーンは曲げられなかったが、マジックでは簡単に曲げられる。

スプーン曲げの関口少年の「インチキ事件」などが5月に週刊朝日誌で報道されてから、超能力ブームは下火になったが、同じ74年には、中岡俊哉が書いた「狐狗狸(コックリ)さんの秘密(二見書房刊)」で、学校では「こっくりさん」の大ブームが起きたし、7月に公開された映画「エクソシスト」や、邦画でも「ノストラダムスの大予言」が8月に公開されて大ヒットしたのである。

世はまさにオカルトブームであったが、飽きっぽい日本人は、やがてノストラダムスのことは忘れていたのだが・・・、1999年が近づいて来ると、再び「ノストラダムス」の大ブームが再来した。

オウム真理教の事件も、遠因のひとつに「ノストラダムスの大予言」の影響をあげる学者もいる。

五島勉が日本人の心理に与えた負の影響は大きかったと言わざるを得ない。

コロナ禍の今、この教訓を生かしてほしいものである。