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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2020-08-17-Monday かちまい論壇

2020年08月17日十勝毎日新聞「論壇」掲載

「瀕死のエンタメ業界」(指定感染症解除を)            

新型コロナウィルス禍が治まらない。

去年11月頃に中国・武漢で発生し、瞬く間に世界中に蔓延。北海道では「さっぽろ雪まつり」見学に来た中国人観光客から道民に感染が広がって、鈴木直道知事は一足早く2月末に非常事態宣言を発出して長い自粛が始まった。安倍晋三首相が緊急事態宣言を発出したのは4月7日。これにより、全国一律に「8割自粛」が始まり、5月25日には一応解除されたのだが・・・。

このウィルスの質の悪さは、症状が現れにくいことだ。無症状の感染者も多い。それ故、自覚なしに他者に感染させてしまう。感染防止策として密閉・密集・密接の「3密回避」が言われるようになり、他人との距離を2㍍確保しましょうとのソーシャル・ディスタンス(以下SDと表記)が新生活様式の要となった。

このSDが厄介である。人の営みは「集まる」ことで成り立ってきたからだ。特にエンターテインメント業界は「より多く集める」ことに注力をしてきたから打撃が大きい。成功の指標は、いかに多くの観客を集めたかであるからだ。無観客の試合やコンサートなどは、何かの罰則としか思えない。

政府のガイドラインでは、収容人数は依然として50%以内のまま。満員を目標に活動してきたのに、スカスカの劇場で、しかも盛り上がって大声で騒いではイケナイと言われたら途方に暮れてしまう。

チケットの販売は半年くらい前から開始されるが、人気者の公演ならば販売と同時に即完売になる。コロナ禍がまだこれほどではなかった時期に販売され、完売になったコンサートは規制が緩和されないかぎり開催は不可能であろう。

帯広市民文化大ホールを例にすると、1540席の半分以下の750人(最前列不使用)しか収容できない。公演を楽しみにしていたファンの半数しか入場できないならば、延期か中止にせざるを得ないだろう。ファンを不公平には扱えないからだ。払い戻しの手続きやら新しい日程調整などスタッフはテンヤワンヤだ。

知人の俳優からは「稽古は無給だし、公演もなくて無収入、バイトも少なくて・・・」と悲鳴があがっている。照明や音響などの裏方も同様だ。

SDを維持するかぎりエンタメ界は悲惨な状態が続く。先月、新宿の小劇場でクラスターが発生したが、もはやいかなる対策を取っても感染者数をゼロにすることは不可能であろう。しからば、方策は「指定感染症」から新型コロナウィルスを外して、インフルエンザと同じ扱いにすることしかないのではなかろうか。