4年前に人間ドックで前立腺癌が発見され、札幌の北大病院に2か月間入院して最新の陽子線治療と内分泌治療(ホルモン療法)を受けた。
治療終了後には医者から10年生存率97%とのお墨付きももらったが・・・。この長く続いているコロナ禍で、私の気分もかなりナーバスになっているのであろうなぁ〜。似合わないほど弱気になっている自分が見える。
同い年の妻よりは私の方が先にあの世に逝くであろう。気になるのはマジックに無関心な我が家族である。私が50年間掛けて蒐集した膨大な量と質のマジックコレクションでも、無関心な人間にとってはただのガラクタにしかすぎないのである。
これは我が家に限ったことではなく、これまでに著名なマジック演者や研究者や収集家が亡くなってしまったら、その遺族はマジシャンのコレクションをいとも簡単に散逸させてしまうという例が後を絶たないのだ。
つい最近も、小林亜星みたいな体躯でマジック研究家としては日本一著名であった故S・T氏の膨大な書籍コレクションがバラバラに散逸してしまったと云う話を聞いたばかりであるし、昨日は、若くして肝臓癌で亡くなった著名なプロマジシャンの故M・T氏の奥様が、ヤフオクに夫の遺品のマジック道具を出品していたと云う話を聞いたのである。
マジックを愛する者としては、耐え難い事態であるが、マジックに無関心な人にとっては、いわゆる断捨離と一緒なのであろう。
しかし、コレクションと云うものは、マジックに限らず、どんなモノでも一旦でもバラバラに散逸させてしまうと、再度収集するのはとても困難なことなのである。
世に収集家は大勢存在しているが、蔵や押し入れの中に仕舞って置くだけならば、それは死蔵と同義であろう。
一般の方に公開してこそ価値があると考えたから、私は自費でマジック・ミュージアムを開設したのであった。
幸いにも自社ビルを所有していて、空きスペースもあったから、そこに日本で唯一の「マジック博物館」を創ることが可能だったのであった。もしも家賃が発生する場所に造っていたならば、当の昔に閉鎖していたであろう。
このコロナ禍で昨年の冬からはず〜っと閉館したままではあるが、何とか持ち堪えることが出来てはいるのだが・・・。
いったいコロナ禍はいつになったら終息するのだろうか?
もうそろそろ終わりかな?と思ったら、緊急事態やまん延防止の延長、また延長である。もう気力が続かないぞ!
2002年から毎年ずっと、お盆休みの8月14〜16日まで開催し続けてきた「大道芸フェスティバル」も2年連続で中止になってしまった。
その2年前から続けている母校駒澤大学同窓会十勝支部の「落語会 駒大寄席」も2年連続で中止になった。
エンターテインメントの行事が中止になってしまうと実にツマラナイ!
気分が落ち込んでしまう。
昨晩、大活躍中のプロマジシャンでNHKの紅白歌合戦にもマジックで出演したMさんからお電話をいただき1時間近くもマジック界の未来について話し込んだ。
「マジック文化」を後世に残したいと云う志はまったく同じである。
若い方々と協力して、何とか我がコレクションを散逸させずに一般にも公開していける方法を探りましょうと云うことで意見が一致した。
私も、コレクションの行く末をしっかりと決めるまでは、まだ当分死ぬわけにはいかないなぁ〜。