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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2023-07-24-Monday 勝毎「論壇」

2023年7月24日十勝毎日新聞「論壇」掲載記事

「地震とビルの老朽化」

30年前の7月12日に発生した北海道南西沖地震(マグニチュード=以後M=7.8、奥尻島の震度6)の追悼番組を見てその被害の大きさにがくぜんとした。

政府の地震調査委員会が2019年に「十勝沖」などの千島海溝沿いで今後「M8.8程度以上」の巨大地震が起きる恐れがあるとの新たな評価を公表した。巨大地震は過去に350年前後の間隔で発生、前回からすでに400年程経過していることから、巨大地震が切迫している可能性が高いとしている。

東日本大震災級の津波も怖いが建物の倒壊も怖い。1995年1月に発生した阪神淡路大震災(M7.3、神戸の震度7)では、神戸市繁華街の三宮のビルが倒壊した映像が印象深い。

マグニチュードとは、地震のエネルギーを表し、1大きくなると約32倍、2大きくなると1000倍になる。

建物には「旧」と「新」の「耐震基準(地震に耐える構造の基準)」があり、81年5月31日までの建築確認において適用していた基準が「旧耐震基準」、その翌日の6月1日から適用された基準が「新耐震基準」である。

旧耐震基準は50年の「建築基準法」にまで遡る。68年の十勝沖地震(M7.9、帯広の震度4)で函館大学などのビル倒壊があったことから鉄筋コンクリート構造の建物の帯筋(鉄筋コンクリート柱に用いる鉄筋の一つ)の基準などが強化された。そして78年の宮城沖地震(M7.4、帯広の震度4)の建物倒壊などの被害を踏まえて81年に新耐震基準に改正された。

同年6月1日以降に建設される建物には「震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7程度の大規模地震でも倒壊は免れる強さとする」ことを義務づけた。

今年1月末に閉店した「藤丸デパート」は80年竣工(しゅんこう)だから旧耐震基準で築後43年だが、新聞報道では改修工事に巨額の費用が掛かることなどから閉店を機に取り壊して新しいビルを建てることにしたとあった。

来年3月で閉館するという「長崎屋」は築後33年の90年竣工で新耐震基準だが、老朽化で取り壊す予定という報道である。

坂本ビルの竣工は69年10月で「旧耐震基準」で建てられたビルである。新耐震基準が施行される12年前に建てられたビルで、帯広市内では6階建て以上のビルでは一番古く、今年で建築後55年になるビルだ。

耐震検査をして補強工事を施せばよいというのだが、そうそう簡単に出来るものではない。実際に改修工事を行うには各種の問題が伴う。

今後帯広でも同様の問題を抱えたビルが増えることであろう。