私は蕎麦が大好きで、それこそ毎日、昼食に蕎麦を食べてもOKである。
店主はまだ若いが、かなりこだわりがあるようだ。
そば粉10割の蕎麦を出しているのだが、麺がソーメンみたいに細いのだ。
メニューの但し書きを読むと、細麺だからすぐに伸びるので温かい蕎麦はあまりお勧めではないらしい。つけタレという「熱いタレに冷たい蕎麦を付けて食べる種類」が店主のお薦めらしい。
冷たいもの、温かいもの、つけタレものの三種類を注文して食べてみた。
確かに店主の言う通りに、食べてみたら、温かいものは麵の細さに合っていないと感じた。但し書きにある痛りに麺がすぐに伸びてしまうからすぐに食べ終えなければならない。
冷たい蕎麦も麺があまりにも細すぎて、箸で数本つまんで猪口に軽くタレを付けて食べるというには適していない。麺が細すぎて塊になってしまうような感じである。
なぜに麺をこんなにも細くするのであろうか?
その意味が良く理解出来ない。
蕎麦の麺の喉越しや風味が蕎麦らしく感じないので私の好みの蕎麦ではなかった。
マジシャンの中には「技術」をやたらと披露するタイプの人がいるが、本来のマジックはテクニックを見せるモノではなく「不思議さ」を見せるものなのにである。
難しい技を使って失敗の可能性を高めるよりも、不思議さを重視して絶対に失敗しない演技をするマジシャンが超一流なのである。
私のたんなる偏見ではあるが、この蕎麦屋さんには何だか、そんなテクニック披露型のマジシャンみたいな感じがしてしまったのであった。