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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2023-10-16-Monday 木彫作品

坂本ビルを閉店することにしたので

4階にあった「坂本商事」(北海道民芸品の店)の商品も、今年の春にネットなどで売り尽くし販売セールをやったのであった。

木彫品では唯一点だけ手元に残しておいた作品があった。

足寄の木彫作家の中尾龍童氏が彫った「籠の中と外のキリギリス」(題名は私が勝手につけた)作品である。

高さ12cm、幅8cmの小作品であるが、「栓」材の塊を彫り抜いた作品である。籠の中に一匹のキリギリスが入っており、その籠の上にもう一匹のキリギリスが乗っている。籠の目も全てくり抜いてあり、籠の空洞も、中のキリギリスも接着を一切しないで籠の目の隙間から彫刻刀を入れながらキリギリスを彫り抜いた作品である。籠の目も竹を組んだ模様に似せて彫ってある。キリギリスの細い足なども全て彫り抜きなのである。籠の頂上にはやはりくり抜きの有環が付いている。

中国の象牙のくり抜き作品を思わせる超絶技巧の作品なのである。

もしも万が一、買い手が見つかったとしても超繊細な作品であり、キリギリスの触角などが折れてしまう危険性が高いこと等から発送することは不可能な作品であった。

これをぜひ観たいと言う人が現れた。

以前から、当店の木彫品の逸(一)品作品を多数お買い上げ頂いているお客様である。

龍童氏の作品も過去に数点お買い上げ頂いていた。

数年前に北海道に勤務されていた折に当店を訪ねて龍童の作品をお買い上げいただいてからのご縁である。

いただいたメールに「発送不能ですからご自身でお持ち帰りいただくことが条件ですし、箱などもございませんので・・・」と写真付きで返信したら「北海道旅行のついでにレンタカーで作品を拝見した上で検討したい」との返事が来たのであった。

約束の日に洞爺湖近くの旅館からレンタカーを運転してご来店いただいたのであった。

私のブログも愛読いただいているようで、本好きな点や収集家としての面でも趣味が私と似ていると親近感を抱いた。

現在お住まいの東京下町の資料などもお土産に頂いた。

龍童の作品を見るなりとても気に入った様子が窺えた。

龍童全盛時の渾身の作品であるから観る人が観れば作品の価値がすぐに判ると思っていた。

私としても手放したくない作品でもあったのだが、気に入っていただける方に持ってもらった方が作品も生きるであろうし嬉しいことであろうと思った。

終活でこれまでに集めたモノがドンドンと減っていく。淋しいことだが蒐集品が生きる整理を心掛けたいと思っている。