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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2007-12-23-Sunday アンコール・ワット 2

十勝毎日新聞 2004年1月29日(木)掲載

石澤良昭上智大学教授はアンコール・ワットの西参道の修復を現地のカンボジア人達に指導し、修復のノウハウを伝えることで、たとえ自分達が居なくなっても事後はカンボジア人自らの力で遺跡の修復を自力で出来るように「カンボジア人による、カンボジア人のための、カンボジアの遺跡保存修復」をと尽力されている方だ。

どこかの国がやっている、金を出すだけのODAや、自分たちだけで作業してノウハウを現地の人に伝えない修復は言わばその場限りの貢献であり、俺達がやってやったんだという自己満足にしか過ぎないものなのではないかと思う。

カンボジアと日本では気候風土も大きく異なる、日本で有効な技術であってもそれがそのままカンボジアで即有効とは限らない。その場所の社会や文化と切り離した文化遺産の保存は意味が無いと思う。私達のグループ(BakaLabo)の活動理念である「場所論」にも通じる考え方だと感じた。

自国の財産を自分達の力で修復し、遺跡を文化財としての観光資源とすることで自国を潤わせる、現地の人が誇りを持てる活動であるところが素晴らしいと思う。

寄贈式は12月18日の午後にアンコール・ワットの西参道の作業場にテントを張り、カンボジア仏式の僧侶五名によるおごそかな読経のなか厳粛に儀式がとりおこなわれた。寄贈者と受贈者が共にクレーンを贈ります、戴きましたと仏陀の御前で宣誓し合い、作業の安全を祈るのである。

今回浅野さんが寄贈した小型クレーンも自動車と同じに「浅野号」と命名された。これまでの石積み作業の能率を4倍にしてくれたし、なにより石を持ち上げる肉体的な負担が軽くなったと、日本人より華奢な体格のカンボジア人作業員達が感謝していた。既に6月の作業開始から重さ350Kgの石を300個積み上げたそうだ。

石を手で加工する伝統的技術を復活させる一方で、重たい石の運搬には効率的な機械を使用する。これによって余分な労力の軽減ができ作業の安全性も向上した。実り多い貢献であると感じた。