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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2007-12-24-Monday アンコール・ワット 3

2004年1月30日 十勝毎日新聞掲載 「ベン・メリア寺院」

前回(2001年12月)の視察とは別に、普通の観光客が行けないような遺跡に案内いただきたいと石澤教授にあらかじめお願いをしていた。

2003年12月19日午前6時、まだ外が暗い中、三台の車でホテルを出発した。最初の目的地はアンコール・ワットから東に約60㎞の所に位置する「ベン・メリア寺院」である。

途中にすれ違う車の数は数台ほど、カンボジアはまだまだ自動車は少ない。シェムリアップの街中は二三人乗りのバイクや自転者で溢れかえっているが、郊外ではほとんど見かけることもない。道路の舗装(簡易舗装)も街の中心部だけ、前回寄贈したワゴン車の浅野号は赤い砂埃を巻き上げながら片道2時間の凸凹道を快調に走り続けた。

カンボジアの一般家庭にトイレは無い。道路沿いの食堂ですらほとんど無いのが実状であり、都会に暮らす人間にとって、生理現象の処理は一大事である。カンボジアではちょっと草薮に入って用を足すというわけにはいかない。草薮は地雷や蛇が恐ろしいからだ。こんなことなら昨夜のビールは控え目にしておけば良かったと悔やまれた。

ベン・メリア寺院一帯はポル・ポト派の支配下にあり1970年以降には保存・修復がおこなわれていなかったために再び密林に覆われてしまい、少し前までは遺跡の中を見ることが出来なかったが、樹木を伐採、整理してようやく見る事が可能になったばかりの遺跡である。気分はまさしく探検隊だ。

ベン・メリア寺院は「東のアンコール」と言われる所で寺院の規模はアンコール・ワットより少し小さいだけ、幅45メートルの環濠を持ち、周囲は4.2キロである。造営年代もアンコール・ワットより20年程早い十一世紀末〜十二世紀始め。設計図、配置図、塔堂構成、回廊などもほとんど同形式である。「この寺院で技術や技法を発展させて、アンコール・ワットを造ったのではないかと推測されている」と石澤教授の解説。こんな学術的な解説付きのとっても贅沢な視察なのである。