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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2008-01-04-Friday カンボジア紀行 2

2007年12月1日(土)十勝毎日新聞掲載「シハヌーク・イオン博物館」

2001年にバンテアイ・クデイ遺跡から発見された274体の仏像はこれまでシュムリアップ市内にある「上智大学アジア人材養成研修センター」に保管され、一般には公開されていなかった。2002年にここを訪ねてこの光景を見たイオンの岡田卓也会長が「仏様をもとの状態に戻して差し上げたい」との思いから寄付を申し出て「シハヌーク・イオン博物館」の建設へとなったのである。敷地(13,140㎡)はカンボジア政府が無償提供し、名称にもシハヌーク国王(当時)の名前を付け、国旗を掲げることの承諾も得た。日本名称は「シハヌーク・イオン博物館」と名付けたのだが、英語名は「Preah Norodom Sihanouk-Angkor Museum」と表記されている。さすがに、正式には国王陛下(現在は前国王)の名前と一企業の名前を並列で表記は出来ないという配慮なのであろう。

11月2日の午前8時から予定されているこの博物館の落成式典に出席する為に、7時にホテルを出発した。博物館と宿泊しているホテルとはバスで7分程度の距離でしかないのだが、現国王のシハモニ殿下(シハヌークの息子)がご出席されるので早目に行って着席待機して出迎えなければならないのである。式典はカンボジア時間(十勝時間と同じで予定の時間がいつも遅れるらしい)で30分遅れて8時半から始まった。クーラーの無い中を正装(スーツにネクタイ姿)で椅子に坐ってただ待っているのはさすがにつらかったが、国王より後から会場入りするような非礼なことなどできはしない。

沿道には国王や前国王の顔写真の入った額やカンボジア国旗や日章旗をもった人々が大勢並んでいる。王室に対する尊敬の念はたいへんに強いようである。

式典ではお坊さんの読経、両国の国歌斉唱、民俗舞踊のアプサラダンス、出席要人のスピーチと続いたのだが、スピーチの最初にシュムリアップ州知事が、国王を前にしてここぞとばかりに自分の功績を延々と述べ続けた、どこの国にも似たような人物がいるものである。私はまだ日本の天皇陛下を身近に拝見したことがないのに、カンボジア国王を目の前で拝見してお言葉を聞けたというのはなんだか不思議な感じがした。国王は55歳でまだ独身ということだが、さすがに上品で威厳がある。最後に東儀秀樹さん親子3人の雅楽による博物館のイメージソング「幻想のアプサラ」の演奏も聞けたので州知事の挨拶以外はすべて満足した式典であった。

建物は鉄筋コンクリート2階建て(2,533㎡)で建設費に一億三千万円掛かったという、日本で同様のものを建てたら8〜10倍は掛かるかもしれない。フランス人のデザインで、アンコール・ワットの5つの尖塔を模したらしい。色は赤っぽい朱色とでも表現したらよいのだろうか、カンボジアの風景にマッチしていると感じた。この博物館は上智大学とイオンがカンボジア王国に寄贈し、開館後はアプサラ(アンコール地域遺跡整備機構)が管理・運営する。カンボジア人の入場は無料で、自国の文化を誇りに思うようになってくれれば嬉しいということである。観光客からの入場料収入はカンボジアの遺跡の保存修復事業などに活用されるという、寄付とはこういうものであって欲しいものだ。