«前の日記(■2008-01-04-Friday) 最新 次の日記(■2008-01-06-Sunday)»
 | トップ |  | ビル概要 |  | テナント構成 |  | 沿革 |  | アクセス |

観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2008-01-05-Saturday カンボジア紀行 3

2007年12月8日(土)十勝毎日新聞掲載「アンコール・ワット西参道」

翌11月3日は「アンコール・ワット西参道第一工区完成式典」に出席した。前日の博物館の落成式典と同じく政府要人(副首相)が出席するから正装で出迎えるというので、時間も同じ7時にホテルを出発した。アンコール・ワットの参道を渡った左側の場所の屋外にテントを張って会場を設営してある。会場には2400人の現地の老若男女の方がすでに待機しており、私たち一行を出迎えてくれた。恐らく一時間以上も前から待機していたのではないかと思われる。会場の奥には装飾を施したテントが張ってあり、そこの椅子に座れと言う。帯広からの一行以外は式典で勲章の授与を受けるVIPであるから当然のことにしても、なんだか場違いなところに居る感じがしたが、カンボジアの大勢の人たちの前でカンボジアの政府要人たちと一緒に並んで座るという機会はそうそうあるものではないからと諦めて席に着いた。

我々の席にはテントが張ってあるから直射日光は浴びないがやはり外は暑い。2400人に日本人代表に思われているのかと思うと緊張して冷や汗も一緒に出てきた。式典の開始時間は例によって30分ほど遅れたが、読経、国歌斉唱、アプサラダンス、スピーチと順調に続いた。心配していたシュムリアップ州知事のスピーチも、この式典には国王陛下のご臨席がないためか短く終わった。式典終了後には昼食レセプションとのわずかの合間にタ・プロムという遺跡の観光が待っている。この分なら予定よりも早く終わるのではないかと期待していたら・・・。最後のスピーカーであるソック・アン副首相兼閣僚評議会担当大臣閣下が延々と70分間も熱っぽく演説し続けたのである。クメール語であるから話している内容は検討もつかないし、お尻は痛くなってくるし、観光の時間は少なくなってくるしで周囲の人たちのイライラが手に取るように分かった。隣に座っていたカンボジア政府の人たちも呆れていた様子である。後から通訳の人に聞いたら、選挙が近いとかで、上智大学の事業とはまったく関係のない義父のフン・セン首相の手柄話をしていたようなのである。話の長い人が嫌われるのはどこの国も同じだ。少しは空気を読んでもらいたいものである。

アンコール・ワット西参道に向かって右側はフランスが現代の技術を使って修復したので100年程度しか持たないと言われているが、上智大学が修復した左側(今回工事が完了したのは奥側半分)は、カンボジア人の石工や中堅幹部などを養成し、技術とノウハウを現地の人たちに伝えたために時間は掛かったがアンコール・ワット建設時と同じ手法を使っているので何百年も持つと言われている。出来上がった石積みも実に見事な美しさである。石を削る技術を石工に習得させ、石を積む肉体作業には現代の機械力のクレーンを使う実に合理的な方法なのである。現地スタッフが充実してきたから今後の修復作業の時間は格段に短縮されるであろう。この作業に貢献するクレーン車を寄贈したのが、ほかならぬ浅野祐一さんなのである。西参道の横にはこの「浅野号」が飾られ、その雄姿が夕陽に映えていた。