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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2008-02-10-Sunday 視察旅行記4

「熱海(12月)」

12月4日は熱海の蓬莱旅館に泊まった。人気ナンバーワンの日本旅館である。最近の熱海の凋落はすさまじいものがあるが、ここ蓬莱旅館は別格である。

歩いて熱海の海岸に出てみた。寛一お宮の銅像は昔よりごちゃごちゃとしていて、いかにも安っぽい観光地の風情だ。目の前の大型ホテルは休業したままになっている。かつての賑わいはない。老人用の保養地として有名だと言うが、あのきつい坂道では老人の足では歩けまい。大型ホテルの囲い込みと共に熱海の時代は明らかに終焉を迎えていると感じた。

蓬莱旅館は温泉街からははずれにあるが、それが幸いしているように思う。落ち着いたたたずまいで風格を感じさせる。従業員の教育も行き届いている。

惜しむらくはお風呂の位置が階段をかなり上り下りしなくてはならないところにあることである。日本旅館の重要な客層であるお年寄りにはあの階段の上り下りはきつ過ぎて泊まる事は難しいだろうなと思われた。恐らく客層は社用族が多いのだろう。新しく造ったという露天風呂が壊れていて入る事が出来なかったのも残念であった。

世話をしてくれた女中さんの気配りもうるさ過ぎず、さりとて構わないでもなく、程好い接客であった。夕食も満足した。京料理とは違って、気取りは無く、量も適度で、一品一品に料理人のこだわりが感じられる料理であった。用意してある酒も料理に合わせて考えられている。さりげないところの気遣いが嬉しい。挨拶に来たおかみさんの話も面白かった。旅館業に対するプロ意識が感じられた。

朝食も伊豆という土地柄を活かしたメニューであった。旅館の下の方で、徳川家の図書館を移築したヴィラ・デル・ソルという洋風のホテルとフレンチのレストランを経営しているという。昼食をそこに決めた。腹ごなしに伊豆山神社に詣でることにした。800段の階段を上ってお参りするのだ。熱海は本当に坂道の多い場所だ。十勝平野のど真ん中で平らな場所で生まれ育った身にすれば、山にへばりついて生活している様にしか見えない。なんでこんなところに家を造るのかと思ったが、伊豆の人に言わせれば北海道の様な寒いところに何で暮らしているのか?と言うのだから同じこと。住めば都ということか。

フレンチの味はそこそこだったが、ソムリエが居なかった。これだけ気取るならソムリエぐらいは置くべきだろう。

払った値段ほどには満足できなかった。

「熱川(12月)」

5日は熱川温泉に向かう。宿泊は「長右衛門宿」である。江戸時代の庄屋の建物を、そこの農家が民宿として営業を始めたところである。蔵を改造した2室と離れの1室の計3室しかない。食事は母屋で食べる。最近人気のある宿なのだ。

夕食の出てきた料理の量の多さに圧倒された。脈略の無いメニューがこれでもか、これでもかと出てくる。おばちゃんが謙遜の意味を込めてなのだろうけど「素人の主婦4人でやっている」と言っていた。無料ならともかく、良い値段を取るのなら素人というのは禁句だ。お金を取る以上はプロに徹してもらわなくては困る。

素人料理だから質より量だというのは、ホスピタリティをはきちがえている。食べられない量の料理を並べられても苦痛にしか感じない。むしろもったいないという気しか起きない。親切の押し売りは苦痛だ。

泊まった場所は蔵を改造した部屋だった。蔵の中は快適だった。周りの音も聞こえない。久しぶりにゆっくり眠れた。

露天風呂は暑い風呂が好きな私には少々ぬるかったが、一緒に行ったメンバーは気に入ったようで二時間ほども入っていた。

熱川は観光といっても「バナナワニ園」しかない所だという。しかし、この宿は人気でなかなか予約が取れないのだそうだ。一日に3室しか客を取らず、その状態が毎日続くほうが営業がしやすい。ここでも、大型ホテルの囲い込みの時代の終焉を感じた。

「東京(12月)」

6日は東京では新宿のセンチュリーサザンタワーホテルに泊まった。シェフの渡邉君のリクエストで港区の三田ハウスにある「コートドール」というフレンチレストランに行った。

出てくる料理はすべて手が込んでいて、シェフのオリジナル料理である。フレンチはあまり得意でない私も全部食べることが出来た。惜しむらくはここもワインのソムリエがいない。料理があれだけのレベルなのだから、優秀なソムリエをおいたらもっと店の格が上がるのにと感じた。それ以外は大満足であった。

美味しいワインを飲みなおすぞと、赤坂のセレブールという田中孝一さんのやっているワインバーに出かけた。

ソムリエである田中氏がいろいろとワインを出してくれる。予算に合わせて提供してくれるのでありがたい。興味深い店であった。

翌日、お台場の「大江戸温泉物語」という新しく出来た温泉に寄った。テレビで話題になっていたので立ち寄ったが、仕掛けが多過ぎて逆に飽きが来る感じだ。仕掛けとは「浴衣の柄を選べる」「江戸時代をモチーフにしている」などで中で時間消費をさせるように芸人が出る高座があったり、食事処は屋台風に作っていたりしている。一方マッサージが充実していたり、団体客用の宴会場があったりと一応は何でもある。しかし、落ち着かないのだ。仕掛けがあり過ぎてのんびりできないのである。秘湯ブームの対極にある温泉型レジャー施設のような感じである。きっとリピーターは少ないだろうなぁ・・・