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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2008-02-14-Thursday 十勝の雪2

本州からの観光客を車で案内すると決まって質問されることがある。

道路端の上方に付いている「下向き矢印(↓)」が連続する標識ともう一つが道路端に並んでいる金属製の板の壁である。

二つともパウダースノーに関係するものである。

パウダースノーは軽くてサラサラしているから風で飛ばされる。それが「吹き溜まり」となって道路上に固まるのである。

吹き溜まりの雪というのはとても厄介な代物だ。風で飛ばされるくらいだから、丁度、篩(ふるい)に掛けた片栗粉の様に粒子が細かいのである。その細かい粒子の雪が道路上で硬く固まってしまうのである。車が衝突すると相当な衝撃になる硬さである。ところがこれをスコップで除去しようとすくい上げると、水分が無いからたちまち粉々になって飛んで行ってしまうのである。除雪がまことにしづらい雪質なのだ。

除雪車が除雪をした後でも、広大な畑からまたパウダースノーが飛ばされてきて、再び道路を覆ってしまうのである。そうなると、何処が道路で、何処が畑なのかが判らなくなってしまい危険な状態になるから、雪に隠れない高さの位置に、下向きの矢印(↓)を連続して並べて、ここが道路と畑の境界線ですよ!ここから食み出ると危険ですよ!と教えているのである。

雪の降らない所から来た人が、夏に見ても意味がまるで判らない標識の一つであろう。

二つ目の金属製の壁は、防風林(元々は雪を防ぐ目的ではなく、畑の土が飛ばないようにする為のもの)の替わりに、風を防いで、道路に吹き溜まりが出来ないようにする為のものである。

十勝の冬の風向きはほぼ北西方向からと安定しているから、防ぎたいものの北側か西側に防風林として成長の早いカラマツを植えたのだ。

初めは防風林もその役目を果たしていたが、木が成長し過ぎて、日陰が出来るようになってしまった。畑に日陰が出来ると、その部分の作物の成長が悪くなるし、道路上に日陰が出来ると雪が融けなくてスリップしやすくなってしまうのである。私も以前、冬に一度防風林で囲まれたカーブしている道路でスリップして畑に車を落とした経験がある。

外気温がマイナスであっても、太陽エネルギーは雪を融かすのである。昼間に太陽が当たって融けた雪が水になって道路を傾斜に添って流れる、太陽が移動して日陰になるとその水がたちまちの内に凍るのである。車のタイヤで出来た凸凹を修正するように融けた水が凹に溜まって凍ると、氷が磨いたように平らになってスケートリンクのようなツルツルの状態になるのである。これはブラックアイスバーンといって、ハンドルがドライバーの言う事をきかなくなるのだ。

冬道の急発進、急ブレーキ、急ハンドルはとても危険な行為なのである。昔は車にスパイクタイヤを履かせていたので横滑りするようなことは少なかったが、環境問題(スパイクが削るアスファルトの粉塵公害)から、スタッドレスタイヤに切り替わった。最近でこそ、タイヤの性能もアップして運転しやすくはなったが、スタッドレスが出始めの頃は上記の様な事故が頻発したものだ。

それで、日陰を無くす為に、防風林をせっせと切ったのだが、今度は吹き溜まりが出来て危険な状態になってしまったので、その吹き溜まりを防ぐ為に高さ2m程の金属製の壁を道路脇に作ったのである。初めは壁を立てっぱなしだったが、窓のブラインドみたいに開閉出来る様になり、更に景観上の問題から、夏の間はコンパクトに収納できるように改良されてきたのである。

しかし、北海道の景色の良い道路に、冷たく無粋な金属の壁は似合わない。最近は再び防風林を植える人たちが増えてきた。

木を切ることに異常に反対する人たちがいるが、木も植えっぱなしでは問題が起こる。やはり、地域の実情に合った管理をすることも必要なのだと思うのである。