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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2008-02-25-Monday 経験と信用

2006年2月18日(土)十勝毎日新聞掲載

かれこれ二十年以上も前の話である。肉牛の牧場を経営している高校の時の同級生から「牛の値段が高くて売れ行きが悪い。何か良い方法はないか?」との相談があった。何故、値段が高いのか理由を聞くと、「十勝で生産された高級肉牛は、一旦東京等に送って屠殺し、使用する必要な肉の部位だけを購入して十勝に逆に送り返してもらうから、往復の流通コストなどが掛かってしまい高くなってしまう」とのことだった。つまり、十勝で生産しているのに十勝では牛一頭分の肉を効率的に売りさばけないから、送料を往復分払っても必要な部位のみを購入した方が無駄がなくなり結局一軒単位としては安くなる仕組みなのだということだった。

「それなら例えば小さめのビルを一軒丸ごと借りて、異なる部位を使う牛肉料理の店を数種類集めて牛のビルをやってはどうか?」と提案した。まず牛一頭を共同購入で安く買い地元で屠殺し各部位に分ける、ステーキ屋・すき焼き屋・しゃぶしゃぶ屋・焼肉屋・牛丼屋・ハンバーグ屋・ハンバーガー屋・中華料理屋など異なる部位を必要とする店を入れて極力捨てる部位を少なくし、最後に余ったところは犬の餌として販売する。というプランである。牛一頭分を安定的に一括で買ってくれて、流通コストも掛からなければひょっとすると半額以下になるかもしれないというのだ。

これは面白いかもしれないと思い、早速身近な経営者達に相談したが、全く相手にしてくれなかった。結局、実績や信用の無い二十代の若造の思い付きなど聞く耳も持たないということなのだろう。ところが、昨年、この考え方と全く同じ発想のビルを始めるというグループが首都圏で現れたという報道を聞いた。

実に惜しかったなぁと感じた!二十年前に十勝で第一号として始めていれば、地域の実情を反映した面白いビジネスモデルになっていたものを・・・

問題は、若者の斬新なアイデアを受け止める土壌というか、広い度量が不足しているのでないか。良いアイデアだからといって必ずしもそれだけで成功するわけではない。が、しかし、地域をあげて優良なアイデアを発掘し、その実現の手助けをする機関や組織が存在しても良いのではないかと考える。新鮮さと老獪さ、大胆さと慎重さとの融合をはかるのだ。

若者は、面白い発想をするが、社会経験が少ないから、視野が狭くなりがちだ。その分を社会経験豊富な人達がフォローしてあげるのである。

それが地域をあげて起業家を育てることにつながるのではないかとも考えている。