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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2008-03-01-Saturday 十勝スタンダードを創ろう

2006年3月25日(土)十勝毎日新聞掲載

先日、牛乳1000tを廃棄するというとてもショッキングなニュースが流れた。豆乳やお茶などに押されて牛乳の消費量が減っているからだという。これとは別のもう一つショキングな話を聞かされた。普段コーヒーに入れている「コーヒーフレッシュ」には牛乳は一滴も使われていないというのである。植物油に水を混ぜ、添加物で白濁させて乳製品らしく見せかけているだけの代物だというのだ。はたして何人の消費者がこの事実を知っているのだろうか?私もこの話を聞くまでは知らなかった。知っていながら安くて日持ちするから良とする人は置いておいても、私のように乳製品だと思い込んで使用している人たちだって多いはずだ。食品に対する情報の出し方に問題があると感じる。また酪農家も何故「アレはまがい物だ」と声高に言わないのだろう。今の日本人は相当量のコーヒーを飲んでいるのだから、コーヒーにいれるミルクに本物を使えば1000tぐらいは使うんじゃなかろうか?生産者が使い方にも積極的に情報発信することが必要だと考える。

この問題には十勝の酪農家の生産量の増加という視点もあるようだ。一戸あたりの大きさが他の地域とは比較にならないほど大規模だからだという。やむをえず離農していく農家の土地を力のある農家が買って、どんどんと一戸あたりの面積が増えていく。しかし、それもそろそろ限界に近づいていると感じる。小中学校の廃校が一番多いのが道東地域だそうである。大規模農家が増えるほどその地域の人口密度が薄くなりコミュニティが崩壊していく図式になっている。

この問題は現状の「市町村合併」では解決はできないと思う。十勝の19市町村をもっと大胆な発想で再構成し直して、5つ程度の街に住民を集約させる「究極のコンパクトシティ」構想が必要ではないだろうか?都市機能を集中させて、都心部以外は農地と自然環境を徹底的に守る。都市と郊外のメリハリをもっと明確にするのである。学校だって生徒が増えれば成立するし、移動手段の無い子供をなにも遠くの学校に通わせることはないのだ。大人が運転して農地に通えば良いのである。都心人口が増えれば商業も成立する。もしこのままのジリ貧状態が進めば、札幌など大都市に吸収されて、やがて十勝から人が居なくなってしまうかもしれない。

北海道の政策を考える際に、日本の基準で発想してはかえって地域の実情に合わなくなると思う。十勝スタンダードを創って実践し、そしてそれを誇りに思って暮らし、他の地域の人たちから羨ましく感じてもらうような場所にすることが必要なのではなかろうか。

以上、永らくご愛読いただいたこの「十勝の場所の意志に学ぶ」のコーナーも今回が最終回となった。1997年5月からの掲載開始で、これまでの9年間に429回の連載を続け、寄稿していただいた方は延べ人数にして114人にもなった。近々この429回分をまとめて一冊の本にして出版するので乞うご期待を!それではさようなら!