先般、東京のある社会人大学に講師として招かれ、講義終了後、居酒屋で開かれた15人ほどの懇親会に参加した。学生(といっても私より年上もいる)は皆さん、一流企業に勤めている人たちだ。しかも全員が、有名な四年制大学を卒業している。
学生時代の「ガリ勉」だけでは不足な、よっぽど勉強好きな人たちなのだろうと思っていたら、「高校までは受験勉強をしたが、大学では遊んでばかりだった」「詰め込み式の受験勉強はさっぱり覚えていないし、役にも立っていない」「社会人として自分もいい年になり、人生を振り返ったときに本当の意味での勉強がしたくなった」と言うのである。思い立ったらすぐに入学する実行力が素晴らしい。
「若い時にもう少しまじめに勉強しておけば良かったと、今になって感じるけど、手遅れだろうなぁ」と感想を漏らすと、みな一様に「そんなことはない」と言う。
学生時代に嫌々やって(やらされて)いた勉強と違って、人生も半ばを過ぎると、自ら進んで勉強したいと切実に感じるし、勉強したいことも山ほどあるというのだ。それが本当の勉強なのだろう。まさに学びたい時が入学時なのだ、社会人大学が多くて選択肢も豊富なのがうらやましい。
もう一度勉強でもしてみるか。教えに行ったはずが、逆に教えられた一日であった。