雪に覆われて使われることがなかった冬の畑に新しい価値を与えたいと、仲間と始めた「スノー・フィールド・カフェ」。十勝の雄大な景観が楽しめる、雪がある間だけの、畑の中のビニールハウスのレストランだ。
遠く日高山脈に沈む夕日と、刻々と色を変えていく空を眺めながら、腕の良いシェフが作るおいしい料理をゆっくりと味わう幸福感。まさに悠久の時を体感できる、ぜいたくな場所なのだ。
せいぜい三ヶ月しか営業できず、赤字になるが、昨冬の実験営業が大好評で、問い合わせが殺到しているので、目先の損得を越えて今冬もやることにした。防風林の奥の畑にあるのでとても分かりにくいが、探し当ててでも来てくれる方には大感謝だ。
このビニールハウスレストランを開いてなによりうれしかったのが、ご近所の農家の方々の反応だ。「自分たちの畑にこんな使い方や力があったのか」と驚いていた。自分の土地に、今までとは別の意味の誇りを持ってくれたと思う。
現在は法律によって、農地の使い方に制限が多い。でも、ただ杓子定規に規制するよりも、その土地が望む使い方をしてあげたほうが、土地も真価を発揮するのではないだろうか。
土地には「生かして使ってほしい」という意志があるのだから!