書類棚を整理していたら、大正8年発行の古い戸籍謄本が出てきた。祖父のものだ。和紙に手書きされたもので、幸いなことに油紙に包んであったから保存状態が良く、しかも癖のない読みやすい文字だったのでしっかりと読むことができた。
見ているうちに謎解きをするようなわくわくした感じを覚え、坂本家の沿革年表を作ってみようと思い立った。嘉永元年は西暦に直すと1848年か、なんていう作業をしているとだんだん面白くなってきて徹底的に調べたくなったのである。結局、五代前の、祖父の祖父母の名前までさかのぼることができた。
父は末っ子だし、祖父は父が25歳の時に亡くなっているから、実は詳しいことはよく分からなかった。父が生前、私に「おまえのおじいちゃんが最初に十勝に来て住んだ場所が分からないからいつか探し出したいなぁ」とよく言っていた。今回出て来た戸籍謄本のおかげで、その住所まで判明した。
こうしてご先祖様のことを調べていると、この世に自分が生きているということが、気の遠くなるようなものすごい奇跡と奇跡の積み重ねなんだなぁと感慨深くなる。
最近、人の生命を軽んじるような事件が多発しているが、少しはご先祖様に感謝する心を持てば生命の大切さを認識し直すことだろう。