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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2008-06-26-Thursday 商売

定年退職後に何か商売を始めたいが、

相談にのって欲しいと言われた。一ヵ月後に大手企業を定年退職する知人がネットビジネスや健康食品の販売などの商売はどうだろうか?とパンフレットを持参して来社した。

こういう類の相談が一番困るのである。

私がした返答は「中小零細企業もしくは個人が抜群のアイデアで画期的なシステムを開発して起業した場合、そのほとんどは数年の内に破綻している。そのアイデアが画期的であればあるほど、その傾向は強くなる。何故ならば、そのアイデアで壊されるであろう既得権益を持っている大手企業が、必死になってその権益を守ろうとするからだ。まずはその良いアイデアが広く浸透する前に徹底的に叩きに入る。その叩いている間に自社でそっくり同じ様に真似をして開発してしまう。開発に成功したら、今度は大手の信頼感と信用力で市場を押さえる。先発した零細企業は資本が続かずに駆逐されてしまう。」というのがこれまでのパターンになっていると説明した。

「ネット社会がもっともっと進展して、情報の有り方が大きく様変わりしたら、今後もこのパターンが続くかどうかは判らない。が、現時点では、夢の無い話だが、信用の無い人間が画期的なアイデアを考え出した場合、そのアイデアを大手企業に売りつけるというビジネスならありえるが、それを使って自ら企業化することは難しいと思う。ハイリスク・ハイリターンでそんな企業に投資するという選択肢もあるが、ナケナシの退職金を全て投資するのは危険過ぎると思う。」としか言えなかった。

この知人は、「この事業を始める人は有名な○○株式会社の元会長さんで、信用の有る人だ。」と言う。私は「あなたはこの元会長さんと面識があるのか?」と訊ねると「会った事はないが、友人が信用できる人だと言っていた。」と言うのである。つまりは又聞きだけで自分で確かめた訳ではない。パンフレットにこの元会長さんの顔写真や経歴が載っていたが、本当に本人が承諾しているのか、誰かに担ぎ出されて名前だけ使われているのかも調べていないという。他者の評価だけで判断して、大金を投資しようというのである。

これが一般の日本人の感覚なのだろう。これだもの「俺、俺、詐欺」にも引っ掛かる訳だ。何故、自分で確認しようとしないのだろうか?私に判断を仰いで決めようというのはこれまた危険過ぎる行為だ。もしこれで全財産を失ってしまったり、止めることで儲け損なっても、どちらにしても結局は私のせいになってしまうのではないか。

自身の判断能力に自信がないなら起業はするべきではない。私のようなちゃらんぽらんな人間にも社長が務まっているのだから社長なんて楽なもんだと思われているのかもしれないが、社長というのは常に判断の連続を迫られているのだから心が安らぐということはないのである。

これからの世の中、商売は益々厳しくなっていく。安易な考えで起業することは決して進めるものではない。