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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2008-07-07-Monday 環境問題3

1999年2月13日(土)十勝毎日新聞掲載「人間性重視したエリア必要〜そろそろ発想の転換を〜」

TKLの事業のなかに「都市構想プロジェクト」「田園ライフスタイルプロジェクト」があります。これはこれまでのミニ東京を目指してきた金太郎飴のような全国均一のまちづくりではなく、十勝の特性を活かした個性あるまちづくりをしていこうという考え方で取り組んでいます。このうち「都市構想」は昨年からTMO(タウンマネージメントオーガナイゼーション「まちづくりを運営する機関」)を作って中心市街地を活性化させようとする市や商工会議所などの動きと密接なかかわりを持つプロジェクトであると思っています。

TKLでは1996年から十勝川など川の視線から見た十勝の歴史や特性などを調査・研究してきました。十勝は三方は山(日高山脈・大雪山系・白糠丘陵)に一方は海(太平洋)に囲まれた広大な十勝平野を持ち、雄大な自然に満ちあふれた地形的にも大変すばらしい地域であることを実感しました。この大自然の中心都市として、「へそ」として帯広はいかなる都市であらねばならないのか。これはただ単に帯広のみの問題ではなく十勝という地域全体の問題なのです。また百年の大計として通用させるには、根本とする哲学に何が必要なのかということや今後の社会がどうなっていくのかというシミュレーションも重要になってきます。

私たちは地球環境問題をベースにし、社会現象として少子高齢化問題を、十勝の顕著な現象として車社会の問題をとらえ、さらに特有の気象条件や住民の気質などを加味し、「将来の十勝をこうしたい」という強烈な意志の下にプランをつくりました。何等の意志も持たず時代や社会の波に押し流されて傍観者や評論家をしているばかりでは住み良い地域をつくることはできません。20世紀という時代においては、交通手段の変化によって中心街といわれる場所が移動を続けてきたことは事実です。しかし、本当にこのままでよいのでしょうか。

すでに右肩上がりの経済は終焉を迎え、中央においても地方においても正しいコスト意識であらゆるものを運営しなければならない時代が到来しました。個としての利便性や利益の追求よりも全体としての利益が優先される社会にしなくては地球全体が生物の住めない死の星になってしまう危険性があるからです。

土地が広いから、安いから、自家用車があるから、他の町村に人口を取られるからという理由で街を無闇に広げていけば一体どうなるのでしょうか?中心部を虫食い状態にしておいて郊外を開発することはその地域全体としては非効率的ですし、その地域特有の文化を消滅させてしまう行為です。

全国どこの街に行っても同じ品揃えの同じ色の四角い箱だけの建物ばかりが増え、その街の特色を無視するどころか殺してしまわなければ営業できない店ばかりになってしまいます。しかも利益はほとんど中央に送られ、その地域に還元されることは少なくなってしまいます。これは教育問題に関しても同様のことが言える20世紀の構造的問題です。

車社会が日本で一番進んでいる十勝だからこそ、人間性を重視した人間中心のエリアが必要なのです。皆さん、そろそろ発想の転換をしてみませんか。

『この環境問題1,2,3は今から9年前に十勝毎日新聞の文化欄に書いた文章である。改めて読み直してみたら帯広の現状は9年前からさっぱり進歩していない。この99年2月というのはちょうど「北の屋台」の前身である「まちづくり・ひとづくり交流会」を組織した時期である。この頃の私はまちづくりに情熱と使命感を持っていたことが判った。はたして今後、地球は、十勝は、どうなるのであろうか?・・・ものすごく不安で一杯である。』