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観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2008-07-10-Thursday まちづくり(2)

2000年2月11日(土)十勝毎日新聞掲載「予測!21世紀のまちづくり〜フローからストックへ 都市の在り方問い直そう〜」

21世紀の日本はどのようになっているのでしょうか?

日本にはかつて人類が経験したことがない程の急激な少子高齢化が到来することが分かっています。2010年頃には人口は減少に転じます。しかも、ただ単に数が減少するだけではありません。若年層が少なく、老年層が多いという年齢構成のバランスに歪が生じることになります。この問題は前例が無いだけに対処が大変難しいと予想されております。

これまでの人口が増え続けて来た時代のセオリーは通用しなくなります。住宅問題を考えただけでもこれまでとは全く逆の方向になる事でしょう。

例えば、一人っ子同士が結婚してその夫婦にも子供が一人だけという世帯が連続したとします。それぞれの両親が一戸建の家を持っていて、単純にその両親が死去したと想定した場合には家が一軒余る計算になります。もちろん、高齢化もするのですからそう単純にはいきませんが少なくとも住宅事情は20年もすると大きく変化してくるものと思われます。

年齢構成のバランスを誤り、年齢が偏った街づくりをしてきたところはいずれ高齢者だけの街になってしまいます。しかも、その場所が郊外に立地し、公共交通機関が無く、運転もままならない人たちだけになったらどうなるのでしょうか?それが帯広のような寒い雪国で今年のように大雪が降ったらどうなるのでしょうか?誰が一戸建ての家の除雪をするのでしょうか?買い物は?病院は?その費用負担は?

十勝ほど「石油」に依存している地域はありません。「石油」の値段が高騰したり、ストップしたりしたら、たちまち十勝の経済は立ち行かなくなるほど基盤が脆弱なものでしかないのです。

20世紀が地下資源やエネルギーを大量消費することで発展してきたフローの時代としたら、21世紀はストックを活用する時代にしなくてはならないでしょう。今ある社会資本やエネルギーを有効に使いこなす文化技術が重要になります。

日本には600兆円を超すといわれる借金があります。これまでのように公共事業に頼る街づくりは不可能です。税金を納める人の数が減るのですから誰が考えても当然の帰結です。少子高齢化問題ひとつを取ってみてもこれ程の変化が出てくるのですから、基本となる前提条件はこれまでと同じであって良いはずはありません。そして更なる重要課題として地球環境問題を考慮しなくてはなりません。

20世紀に税金とエネルギーを消費し続けることで拡大・拡散し続けた都市も、21世紀にはもう一度その在り方を問い直す必要があると考えます。

ある学者による商業形態の変遷の予想はその事態を象徴しています。車社会全盛の現在は巨額の設備投資を要する郊外型巨大ショッピングセンター(SC)が主流を占めていますが、やがて、コンピュータ社会に完全に移行したときには、店舗等の設備投資に経費を掛けないインターネットによるバーチャルショップ等に取って代わられ、郊外型SCも競争に破れて廃墟と化し、都市にはサービスをますます充実させたコンビニエンスストアぐらいしか残らないというのです。