«前の日記(■2008-07-12-Saturday) 最新 次の日記(■2008-07-14-Monday)»
 | トップ |  | ビル概要 |  | テナント構成 |  | 沿革 |  | アクセス |

観光カリスマ
坂本和昭のブログ


■2008-07-13-Sunday まちづくり(5)

2000年3月3日(土)十勝毎日新聞掲載「北の屋台〜人情味のある場提供を 取り戻したいまちのにぎわい〜」

「屋台」は現代社会でも世界中のあらゆる場所に存在しており、人類が商行為を始めた時代から存在するまさしく商売の原点ともいえる形態です。日本で現在の形式に近づいたのは江戸時代に寿司、そば、天婦羅などの屋台が盛んになったことによります。今日いうところの屋台は第二次世界大戦の終戦時に戦争引揚者の方々が生活のために行ったものを始まりとしておりますが、残念なことに日本の屋台はやがて消滅する運命にあります。屋台の代名詞といわれる福岡(博多)でさえも例外ではないのです。それは現在営業しているその人一代限りの営業権しか認められていないからです。法律は遡及適用ができませんから道路法や食品衛生法等の法律が施行される以前から営業している人のみ既得権益として行政側が渋々認めているから営業を続けられているのであり、新規参入はできないことになっているのです。新陳代謝が無ければ何物も滅びてしまいます。

最初に私達が「屋台」をやりたいと言い出した時に、このことを知っておられた方々からは「法律上不可能なんだから、それに寒いのだから諦めた方がよい」とご助言を頂きました。しかし、意のあるところに道は通じる、で多くの仲間が集まり色々な角度から調査研究をした結果、諸法規を適正にクリアし、新規参入が可能な方法が見つかったのです。助言に従って最初から諦めていたら「北の屋台」事業は日の目をみなかったことでしょう。

屋台に対する概念を「モバイル・コンパクト・ショップ」と横文字にすることで既成概念がふっ飛び、発想が格段にひろがりました。各地に視察に出向くなど実際に行動し、かつその情報を開示することで常に新たな仲間も加わっており、そこからさらに良い智恵が生まれ、日々変化をし続けています。まだまだ解決しなくてはならない課題も山積しておりますが、確実に現実化に向けて進んでいると感じております。

紙面の都合から一部分だけの解説となりますが、「屋台」は低コスト、低リスクで開業できるメリットがあります。この特性を活かして商人の予備軍を育成します。今、お金は無いけど商売をやってみたいという、いわば素人の人達に「屋台」という道具と場所を提供し、実践することでノウハウを身に付け玄人になってもらい、自信とお金が貯まったら空き店舗に入居して本格的に開業するというサクセスストーリーをつくりました。これには屋台群で空き地を埋める即効的効果と、将来の商人が空き店舗を埋める遅効的効果の二面性を持っているのです。(詳細をお知りになりたい方は事務局まで)

帯広の都心部に欠けている要素は、「こころのよりどころ」であり、重視しなくてはならないものとして「人と人とのコミュニケーション」があると思います。車に振り回されることなく、人間を中心にした、昔ながらの人情味溢れる触れ合いの場が必要だと思います。車社会やコンピュータ社会が進めば進むほど、逆に人と人との直接的な交流を求める人たちも出てくるはずです。所詮、大手資本と設備投資競争をしても勝てっこないのですから中途半端なことは一切やめて、まだ勝ち目のある「人」に特化したことを思いっきりやってみてはどうでしょうか。私達の活動が刺激となってさらに様々な活動が生まれ、帯広が賑わいを取り戻せる日が一日でも早く来ることを楽しみにしています(終わり)。

これは8年前に十勝毎日新聞に掲載されたもので、「北の屋台」(開業は2001年7月29日)オープンの1年半前の文章である。私のまちづくりに対する持論は、事業を行う前にしっかりとした「コンセプト」とそれを実現させる「戦術」を持つことの重要性である。今日のまちづくりの事業はお題目だけを唱えているか、もしくはイベントの為のイベントにしかなっていない。憂慮すべき事態にあると思う。